「ご自由におとりください」として
貸出ランキングベスト300(2015年)のリストがおいてあった。
4位に和田竜の『村上海賊の娘』(上巻)がはいっているのをのぞき、
1位から8位を東野圭吾の作品が独占している。
9位に又吉直樹の『火花』がはいり、
10位は『村上海賊の娘』(下巻)。
東野圭吾のつよさは圧倒的だ。
ベスト30をみても、16作品に東野圭吾がはいっている。
いったい松江市になにがおきたのか。
東野圭吾の作品について、研究会がひらかれたのか、
読書感想文のおすすめ本にリストアップされたのか、
松江市と東野圭吾には なにか特別なむすびつきがあるのか。
まさかほかの図書館でも おなじような傾向があるとはおもえないけど、
東野圭吾氏の作品と図書館には
なにか特別な関係があるのだろうか。
このランキングには、
かしだされた回数や、かしだした人数は あかされていない。
なぜこんなに東野圭吾氏の作品が
圧倒的によまれているのか 理由をしりたくなる。
翻訳本では19位の『フランス人は10着しか服をもたない』が最高で、
小説になると、58位に『その女アレックス』がはいるまで、
ずっと日本の本がしめている。
全体をみても、この2冊をのぞけば、
ベスト300のうち298冊が日本の本なのだから、
これもまたすごいはなしだ。
翻訳本がうれないというのは ほんとうなのだ。
新刊本がうれなくなったのは、
図書館のかしだしが一因とするみかたがあり、
新潮社が中心になっての
「貸し出しの1年猶予」を図書館にもとめるうごきが
2月18日の朝日新聞で紹介されていた。
出版社や作家の側からすれば、
図書館が新刊をどんどんかしだして、
そのぶん自分たちの本がうれなくなれば
なんらかの対応をもとめたくなるだろう。
松江市立図書館のかしだしランキングを東野圭吾氏がみれば、
こんなによまれていても、
はいる印税としては 図書館がかった分だけなので、
よろこんでいいのか、残念なのか、
ビミョーな心理になるのでは。
樋口毅宏氏が『雑司ケ谷R.I.P.』の奥付に、
公立図書館のみなさまへ
この本は、著作者の希望により2011年8月25日まで、
貸し出しを猶予していただくようお願い申し上げます。
と記している。
もっともな主張だとわたしはおもう。
わたしがよんだ本は、
ベスト300にたった7冊しかはいっていない。
本がうれなくなったのと、
わたしの図書館の利用とには
きわめてうすい関係しかないようで 安心した。