自動車の運転免許をとったむすこが、
練習するために わたしの車をつかわせてくれ、という。
たしかに運転の空白期間はつくらないほうがいいので、
保険を年齢無制限にきりかえて、
きょうからわたしのフィットをつかえるようにした。
運転していると、ほかの車にイライラさせられることがおおく、
むすこにはそうしたドライバーになってほしくない。
ポイントを2つにしぼり、むすこが免許をとったら、
それだけはどうしてもつたえようと ずいぶんまえからきめていた。
ひとつは、右折のときに 車を右によせる、というあたりまえなこと。
道路のまんなかに車をとめ、
うしろにながい列ができていても 平気なドライバーがいかにおおいか。
ウィンカーをだしただけで、道のまんなかにいすわっている車をみると
まわりがみえてない無神経さにうんざりする。
もうひとつが、右折でも左折でも、
道をまがるときは反対方向にふくらまない、というものだ。
トレーラーを運転しているかのように、
ものすごく反対側にふくらんで角をまがる車は、
みていてうつくしくないし、
自転車やバイクであとをついていると とてもあぶない。
ウィンカーをだした反対に車が路線をかえるのだから、
うしろをはしるものとしては 予想外のうごきになる。
むすこにつたえたい運転のマナーは
ほかにもたくさんあるけれど
あんまり口うるさくいうのは
こちらが自己満足するだけで、
あいての耳には たいしてはいらないだろう。
むすこには、せめて このふたつだけでも
気をくばれるドライバーになってほしかった。
いっしょに車をのっているときに
実例をしめして むすこにつたえようとおもった。
むすこの運転する車にしばらくのったあと、
わたしは用事があったので
そこまでむすこにおくってもらい、
3時間後にむかえにこさせる。
運転手つきえらいひとになったみたいで、わるくないかんじだ。
これからしばらくは 重役気分をあじわえるな、
なんておもっていたら、
むかえにきたむすこが「ちょっと事故した」ときりだした。
お店の駐車場からでようとしたときに、
まえからほかの車がはいってきて、
よけようとバックしたら うしろの車にあたったのだという。
はなしをきくかぎり、むすこのほうが100%わるそうだ。
すぐに保険会社に連絡して対応にあたる。
初心者のうちに事故を体験してよかったと
とらえることもできる。
いい線いっているつもりで運転していても、
かんたんにトラブルをまねくと ちいさな事故でおもいしれば、
これからしばらく あんまりむちゃなことはしないのではないか。
免許をとったばかりで 事故をおこしたむすこは
ずいぶんショックだったみたいで、
家にもどるときは わたしに運転をかわってほしいという。
運転についての2点のツボを つたえたかったのに、
いまのむすこには、なにをいっても頭にのこらないだろう。
自信をなくしたままではこまるので、
ようすをみながら なんらかのケアが必要かもしれない。
わたしの初期型フィットは、
重役用の送迎車にふさわしくないほど、バンパーがゆがんでいた。