いろんな町が、こじつけみたいな「日本一」をかかげて
町おこしをねらっている。
鳥取市は日本一カレーライスをよくたべる町らしいし、
宇都宮市はギョーザでもりあげようとしている。
松江市の場合、このごろよくきくのが
「ぜんざい発祥の地」と
「日本一おでん屋さんのおおい町」、
というのがある。
どちらも すんでいるわたしでさえ
しらなかった「特色」であり、
かなり無理があるような気がする。
そうした たいして根拠のない「日本一」にこだわるよりも、
「日本一 横断歩道で車がとまる町」
という自慢はどうだろう。
道路にはたくさんの横断歩道がもうけられていながら、
とまる車はあまりにもすくなくて、
歩行者や自転車は ほとんどあてにしなくなっている。
もし、横断歩道にひとがたっていたら、
車がかならずとまるような町であれば、
ずいぶんかっこいいし、ほかの町に自慢できるのでは。
まえにカナダを旅行したとき、
歩行者優先の意識がたかいのに おどろいた。
ひとが道をわたろうとしていたら、
かならずといっていいほど 車がとまってくれる。
日本にかえってから、自分でも 横断歩道でとまってみると、
すごく気もちがよかった。
歩行者としても、車がすぐとまれば わるい気はしないだろう。
ほんとうは、横断歩道でないと 車がとまらないのではなく、
横断歩道がない場所でも、歩行者を大切にしてほしい。
横断歩道でとまるのは、義務であり、
歩行者にむけた最低限のエチケットだ。
だいたい 車の運転手は、なんの根拠があって
道路は自分たちだけのもの、みたいな
おれさま運転をするのか。
まえにフェイスブックで
横断歩道でとまってくれた車にたいし、
お礼のおじぎをした子どもをほめた記事がのり、
わたしは違和感をおぼえた。
横断歩道をまえに、車がとまるのは あたりまえだ。
おじぎをした子を、けなげだとか、子どもらしいと
もちあげるのではなく、
お礼をしたくなるほど、とまらない車がおおい状況を
おとなたちは はずかしくおもったほうがいい。
それほど絶望的に車がとまらない社会において、
自分の町は、日本一歩行者が大切にされる、というのは、
かなり自慢できるかっこよさなのでは。
ハード面のインフラをととのえたりしなくても、
意識をかえれば、かんたんに実現できる。
松江市の運転マナーのよさは、すぐに全国へひろまるだろう。
あの町では、車がかならずとまってくれたと、
旅行者が自分の町にもちかえり、
おどろきとともに 宣伝してくれる。