「デイリーポータルZ」の特別企画として、
「生きているからにはやっておきたいこと」がとりあげられている。
http://dpz.cocolog-nifty.com/q/2016/04/42955gw-9b3e.html
生きているからといって、かななずしも
やりたいことをぜんぶクリアーしてきたわけではない。
ながねん頭のかたすみにありながら、
実現にむけてうごかなかった夢の数々。
デイリーポータルZでいう「生きているからには・・・」は、
・職人の下積み期間を体験したい
(店のまえで大根のカツラむきをする)
・破った袖で止血したい(そのまえにキズぐちに酒をぶっかける)
・ぶら下がり取材されたい
・りんごを手でにぎり割りたい
など、シンプルながら おおくのひとが
身におぼえのあるリストではないか。
こうやって具体的にしめされると、
だれにだって、「生きているからにはやっておきたい」
ことをいくつかおもいだすだろう。
わたしのおばが、何年かまえに
「死ぬまでにルーブル美術館にいきたい」と
わりとまじめにいった。
いけばいいのに、とわたしはとっさにおもったけど、
年配の方にとって、外国への旅行、とりわけツアーでない旅は
そんなにかんたんではないようだ。
ルーブルなんて、かんたんにいける。
いけるけど、瞬間にはおわらない。
ルーブル美術館に足をふみいれ、感激しておわりではなく、
その前後にくっついてくるさまざまな雑務
(パスポートをとったり、飛行機やホテルを予約したり)や
移動時間にたくさんのエネルギーをとられる。
だからこそ、夢がかなったときの感激が、
いやがうえにもたかまるわけだけど、
そのまえにつかれきって 気もちがきれる場合もおおいだろう。
おいのわたしが かりに旅行を手つだったとしても、
長時間の旅行が、全体として成功するかどうかはわからない。
夢は、かなえるまえとあとがめんどくさい。
デイリーポータルZの企画は、めんどくさい部分をはぶき、
エッセンスだけにしぼっているので
実現はわりかしかんたんだ。
かんたんにかなえられるだけ、
よろこびはながくつづかないかもしれない。
それでもいいから、やってみようという企画であり、
じっさいに やってみたら ひとつのくぎりとなりそうだ。
「死ぬまでにやっておきたい」と
「生きているからにはやっておきたい」は、
ビミョーにちがうかもしれない。
「死ぬまでにやっておきたい」は
切実なねがいであり、冗談になりにくい。
「生きているからには・・・」は、
もうすこしかるくて即物的だ。
やらなくても人生に影響はないけれど、
あーおもしろかった、と
その場の充実感だけを目的とする。
「死ぬまでにやっておきたい」をやらないでいたら、
死ぬときにきっと後悔するだろうから やるしかない。
「生きているからには・・・」は、
やらなくても後悔しないけど、
やっておけば たのしいおもいでがリアルなので
できるだけやっておいたほうがいい。
けっきょく、頭のなかにあるだけではなく、やってみることが
なにごとにおいても大切となる。