2016年08月26日

『ザ・パシフィック』アメリカ側からえがいた太平洋戦争

しりあいにつよくすすめられ、
『ザ・パシフィック』の1章から10章まですべてみる。
『バンド・オブ・ブラザース』が
ヨーロッパ戦線をえがいたテレビドラマであり、
この『ザ・パシフィック』は、その太平洋戦争版だ。
アメリカ海兵隊の部隊に焦点をあて、
ガダルカナル島とペリリュー島、
そして沖縄でのたたかいがおもにえがかれている。

『バンド・オブ・ブラザース』では、バストーニュの森で
タコツボにこもっていた兵士たちが印象にのこっている。
食糧と弾薬はのこりすくなく、さむさにこごえ、
敵の前線とにらみあいがつづき、ただまつしかない。
『ザ・パシフィック』は、しょっちゅう雨にふられ、
からだじゅうがビショビショだ。
あつさとさむさ、それに湿気によわいわたしは、
たたかうまえにどうにかなってしまうだろう。

この作品は、アメリカ側からみた太平洋戦争であり、
日本兵は、ただやみくもに突撃してくる
気味のわるい「ジャップ」でしかない。
作戦などなにもなく、人海戦術でつっこんでくるだけ。
海兵隊員が機関銃でバタバタたおしても、
あとからあとから日本兵がわきでてくる。
日本軍のようすとか、日本兵どおしの会話はいっさいない。

イーストウッド監督は硫黄島でのたたかいを、2つの作品でえがいた。
『父親たちの星条旗』はアメリカ側から、
『硫黄島からの手紙』は日本側からみた硫黄島だ。
それぞれすぐれた作品だけど、
あくまで2本でひとつの2部作構成であり、
両方の視点から戦争をとらえられた。

『バンド・オブ・ブラザース』でも、
相手のドイツ兵についてはえがかれていない。
この作品をみているときには なにも不満をかんじなかったのに、
『ザ・パシフィック』では おなじ日本人として
ただ突撃してくるだけの日本兵は みていてつらい。
アメリカ人によるアメリカ人のための作品であり、
さいごまで 違和感がきえなかった。

posted by カルピス at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする