今週の「音楽遊覧飛行」(NHK-FMの番組)は、
吉村喜彦さんが担当する「食と音楽で巡る地球の旅」。
テーマは、「わざわざ食べに行きたい食べ物」だ。
いつもだと、すっぱいものとか、あまいものとかのテーマをきめて、
それにまつわる町とたべものを紹介するのだけど、
今週は「わざわざ食べに」でかけたいほど
印象にのこるたべもののはなしだ。
でもまあ、内容としては、けっきょくいつもとおなじだった。
もともとテーマなんて あんまり意味がない番組だ。
吉村さんがたのしくおしゃべりして、
さいごにこじつけの曲をながせたらいい。
わたしもまたこじつけで、
「わざわざ食べに」でかけたい
おもいでのたべものについてかいてみる。
きりがないので、3つにしぼった。
・ネパールのダルバート
・イギリスのフィッシュアンドチップス
・モロッコのハリーラ
ダルバートはネパールの定食だ。
ダルは豆のスープ、バートはお米、
それにタルカリというカレー味のおかずが
最小限のセットになっている。
ボソボソのごはんにダルをかけて手でほぐし、
わしわしくちにはこび、ときどきタルカリをつまむ。
みそ汁のぶっかけ丼といえなくもない。
ネパールでは朝ごはんをごくかるくすますので、
ひるにはすごくお腹がすいている。
そんな胃袋にダルのやさしい味がたまらなかった。
ごはんはいくらでもつぎたしてくれる。
フィッシュ&チップスは、イギリスを紹介する本に
かならずといっていいほどでてくるので、
ずっとまえからたべてみたかった。
タラなどの魚のフライに酢をふりかけ、
大量のチップス(フライドポテト)をつけあわせにたべる。
こんなにたくさん とてもたべきれない、と
おどろくほどのチップスをいれてくれるので、
「おまえ、これだけの量をたべらられるか?」と
挑発されたような気がした(もちろんたべた)。
ハリーラは、モロッコのごった煮スープで、
ラマダンちゅうに、からっぽのお腹の準備体操として、
まずハリーラをゆっくり胃におくりこんでから
夕ごはんにうつる。
ラマダンにかぎらず、いつでもつくられており、
モロッコにおけるカゲの国民食ではないか(独断だけど)。
タジンとクスクスは日本でもつくったけど、
ハリーラだけはモロッコでたべたい。
「わざわざ食べに行きたい食べ物」にあげる所以だ。
3つ、といっておきながら、もうひとつかきたくなった。
・スペインのチーズサンドイッチ
夕ごはんまでのおやつにとおもい、
宿の1階でやっているバルでチーズサンドイッチをたのむと、
ぶあついチーズを何枚もきって
おおきなパンにはさんでくれた。
こんなのをおやつにたべるなんて、
さすがにスペイン人の食欲はひとけたちがう。
わたしの注文がなにかまちがってつたわったのでは、と
心配になるほど 何枚も何枚も
チーズきり器でスライスしてくれる。
これがフランスになると、がくっとチーズの量がへる。
チーズサンドイッチはぜったいにスペインでなければならない。
「ボカディージョ・デ・ケソ・ポルファボール」
(チーズサンドイッチをください)
は、いまでもおぼえている かずすくないスペイン語となっている。
いずれも、はじめてたべたのは、もう20年以上まえのはなしだ。
おむかえがくるまえに、センチメンタルジャーニーとして
これらの国をたずね、わかいころの記憶とてらしあわせたい。
ハリーラ以外は、どれも量にうちのめされているのがわかる。
いまでもそうだけど、
けっきょくわたしは量によわいだけかもしれない。