『君の名は。』(新海誠:監督「・2016年・日本)
なんの情報も耳にいれず、『君の名は。』をみる。
アニメーションであることも、ちょっとまえにしったくらいだ。
新海誠監督の名前すらきいたことがない。
職場のスタッフとはなしているとき、
むすこさんがこの映画をみたいというので
映画館におくったら、ながい列ができていたそうだ。
話題になっているのが ほかからもちらほらきこえてきた。
わかもののこころをなにがとらえたのだろう。
おじさんも ひとつみておくとしよう、みたいなのりだ。
わたしみたいに男ひとりできているひともめずらしくない。
男ふたりとか、女ふたりもちらほらいる。
ほとんどがわかものだけど、しらが頭の男性がひとりいた。
オープニングから、うつくしい画像に圧倒される。
これまでみたことのない角度からの絵が新鮮だ。
男女がいれかわる よくありがちな作品かとおもったら、
ぜんぜんちがった。
はじめのころは内容についていけず、
なにがおきてるのかが さっぱりわからなかった。
でも、好感のもてるきれいな絵で、
うごきをみているだけでも生理的快感をおぼえる。
さいごまでみても、よく理解したとはいえないけど、
おもいがけず たのしくみることができた。
こんなはなしをおもいついた深海監督に感心する。
リアルな夢をみながら、おきたとたん
ほとんど瞬間に記憶がうしなわれてしまうことが
わたしにもよくある。
名前どころか、いったいなんの夢だったかさえおもいだせない。
認知症のひとが、日常的にむきあっている恐怖とたいへんさを、
そのたびに ほんのすこし共有する。
『君の名は。』では、夢はすぐにわすれることが前提になっている。
わかいひとでも、夢をわすれのがあたりまえなのかと
おじさんを安心させてくれた。
うつくしい画像、とかいた。
ところどころ絵があれるところもあるとはいえ(旅館の場面など)、
彗星などは、じっさいに目でみるよりもきれいにかいてある。
写真のように正確な絵なだけでは たいして感心しないけれど、
スマホの画面や 教室で先生が黒板にかいていく
字のうごき・うつくしさが新鮮だった。
この作品は、快感をおぼえるくらい、
作画のレベルがおそろしくたかい。
たかいレベルの作画が リアリティをささえている。
いい作品をみさせてもらった。