2016年12月18日

NHK特集「自閉症の君が教えてくれたこと」の衝撃

NHK特集「自閉症の君が教えてくれたこと」をみる。
東田直樹さんは22歳の自閉症で、
ひとと会話ができない。
パソコンや、紙にかいた文字盤をおしながら、
自分のかんがえをまとめ、あいてにつたえている。
おちつかなくなったときの動作や、
帽子をかんでイライラをこらえたりする
自閉症者によくみられるしぐさをみると、
重度の障害者にしかみえない。
文字盤をつかってはなす 東田さんのことばによって、
自閉症のひとたちが、内面では複雑な思考をくりひろげていると、
わたしは はじめてしった。

東田さんは、取材におとずれた丸山さん(NHKのディレクター)が、
がんをわずらっていることをきき、
がん患者になることで、価値観がかわりましたか?とたずねる。
ディレクターが、
「やはりいろいろかわりました」とはなしだしたら、
東田さんは
「僕は人の価値観はそんなに簡単に変わらない、
(価値観は)つみかさねた人格のようなものだからです」
と自分のかんがえをつたえる。
また、丸山さんが生きるうえで大切なこととして、
命のバトンをつなげることをあげると、
東田さんは、
「僕は人の一生は、つなげるものではなく、
 一人ずつが完結するものだと思っています」
と自分のかんがえをのべる。
命がつなぐものであるなら、
つなげなくなった人はどうしたらいいのか。
一人ひとりが人生を生ききることで、
残されたひとたちは その姿をみて
自分の人生を生きつづける。

13歳の自分になにかアドバイスするとしたら、
という問いかけには、
いったんかいた「ありのままでいい」をけして、
「人生は短い」にかえている。
「アドバイスできるものがあるなら
 それははげましのことばではありません。
 つらすぎる毎日をおくっている僕の耳には
 とどかないとおもいます。
 僕は人生は短いという事実を伝えたいです」

東田さんのコメントをかきとめると、
ひじょうに独特なみかたをしているようにみえる。
しかし、それはきゅうにピョンピョンとびはねたり、
いらいらすると帽子をかじったりする東田さんが、
そうした発言をするからおどろくのであり、
はなしている内容じたいは、あんがいあたりまえだ。
平凡といっているのではない。
とてもまともなのにおどろかされる。
東田さんは、自閉症者でないものにもわかるいい方で、
自分のかんがえをつたえてくれる。
重度の自閉症者が、
内面ではこんなゆたかな精神活動をおこなっていると、
わたしは想像したことがなかった。
東田さんがくちにするまっとうなかんがえに、
わたしはつよい衝撃をうけた。
自閉症ならでは、というよりも、
ごくふつうの人間としてとらえられる 貴重な発言だ。

posted by カルピス at 19:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする