「薬剤師に論破されたい」がおもしろかった。
http://portal.nifty.com/kiji/170114198558_1.htm
なんの記事かというと、
ふつうなら失礼できけないような質問を専門職にぶつけ、
豊富な知識と経験によって論破してもらう、というものだ。
すっきり論破されるのは、あんがい気もちのいい体験かもしれない。
薬剤師の池田さんをまねき、
斎藤さんがまえからかかえていた疑問をぶつけている。
挑発したいというよりも、
すでに常識となっていて、いまさらたずねにくい質問を
この機会にぜんぶ口にしてしまおう、というかんじだ。
「薬局ってなんで病院と別なの?」は、
わたしもまえからかんじていた疑問だ。
たずねても失礼ではないかもしれないけど、
ストレートにきいたら なんだかバカにされそうだ。
池田さんは、医薬分業のかんがえ方を、斎藤さんにきちんと説明する。
ドクター、看護師、薬剤師、ケアマネジャーさん、いろんな人が対等に話し合って患者様中心の医療にしていこうっていうのが、今一番の流れになっています。医薬分業はその一環です。
そんなふうに説明されると 「はい、わかりました」というしかない。
つぎに斎藤さんがたずねたのは、
「薬局ってめちゃ儲かっていますよね?」
今やたらと薬局多くないですか? この間うちのすぐ近所に調剤薬局ができたんですが、そんな使わないし、別に要らないです。それよりコンビニを建ててほしい。うちの近くにコンビニがないんです。
と、無理難題をふっかける。
そんなことをいわれたって、池田さんもこまるけど、
薬局の経営はあんがいたいへんで、
つぶれる薬局だっていくらでもあるそうだ。
つぎに、
「そもそも薬を使うなんて発想がおかしい!」と
斎藤さんが 極論であり、正論でもある私見をのべる。
池田さんに論破されるかとおもったら、
「それは本当にそうです」とすんなり肯定された。
決めるのは本人なので、そういう考え方もアリです。人生をかけて「薬を飲まない」って方針を貫く方は実際いるんですよ。それはその人の人生だから「貫いたんだな……」って思いますね。
このごろセルフネグレクトということばをときどき耳にする。
薬を否定するかんがえ方と どうちがうかというと、
信念で医者にかからないのか、
やけっぱちで自分をそこなうのかの差ではないだろうか。
とはいえ、はっきり線がひけないややこしい問題だ。
斎藤さんは、論破されて腹がたったのではなく、
ここちよく かんじたのだから、
質問におちついてこたえた 池田さんをたたえたい。
病院関係者のだれもが 池田さんみたいに
率直な意見をきかせてくれるなら、
もんもんと疑問をかかえたりしないだろう。
説明のうまさは、薬剤師という 池田さんの仕事と、
なにか関係あるのだろうか。
病院の先生になにかたずねても、
池田さんのようには すっきり論破してはくれない。
医者と患者の関係そのままに、
ちからずくで、あたまごなしに きめかかるひとがおおい。
専門バカではなく、専門性をいかしながら、
あいての気もちをかんがえたうえで論破しようとする
池田さんの誠実な説明がここちよかった。