「シャトルシェフで肉を煮れば人類は救われる」がのった。
http://portal.nifty.com/kiji/170411199303_1.htm
シャトルシェフは、保温調理器の一種らしい。
煮こむ時間はみじかくても、そのあとながい時間 保温することで、
材料がトロトロにやわらかく、おいしくなるそうだ。
わたしがすきな(やすいので)豚バラ軟骨と鶏肉の手羽を材料に、
煮こみ料理がつくられている。
松本氏は、「揚げ物に油をかけると、すっげーウマい」の記事で、
ポテトチップスにオリーブオイルをかけたり、
テンプラに豚バラ肉からとった油をかけたりと、
常識にさからう過剰な摂取で わたしが注目している食の冒険家だ。
http://portal.nifty.com/kiji/170314199029_1.htm
テキトーさと大胆さ(おなじことか)により、
食材のいきおいを最大限にひきだす手法は、
他の料理人の追随をゆるさない。
たとえば豚バラ軟骨の料理では、
煮込むとアクが出ますがもったいないので取りません。アクだって豚の一部です。
とたのもしい。
われわれは、料理人であるまえに
地球人としての良識をわきまえるべきで、
あたりまえに 材料をまるごと とりいれる姿勢に 好感がもてる。
鶏肉の手羽をつかったカレーでは、
・表面を焼きます。うま味を閉じめるとかそういう効果は特にありませんが茶色はおいしそうなので茶色くします。そういう儀式です。
・カレールウは使っても使わなくてもいいのですが、カレー粉を買うより安いので経済的理由でルウを使います。
・「カレールウの味は完成しているので隠し味は要らない」なんてつまんない事を言う人がいます。が、どんどん余計なものを入れていきます。むしろ隠さず余計なものだけでカレーを作る。するとハレになります。
・『ごちそう』とはつまり普段とは違う味の事ですから、ふだんと違う味付けにすればそれすなわちごちそうです。レシピなんかに従っていたらごちそうなんて出来ません。魔改造していきましょう。
と、筋のとおったコンセプトにしびれる。
トマト・おろしショウ・、おろしニンニクをくわえ、
カレールウをいれたのちも、
「余計なもの」をつぎつぎに つけたしていく。
添付のカレー粉・S&Bのカレー粉・ヨーグルト、
梅ジュースをつけたあとの梅。
一般的にはシンプルが善とされ、
「余計なもの」をくわえるのはダサいと 評判がわるいけど、
松本氏は一般常識にとらわれず、
「余計なもの」を過剰にくわえる手法で
料理のあたらしい大陸を発見した。
わたしは、なにかをくわえるより、
いまあるものから すこしずつひいていく過程に
価値をみいだしている。
肥料をやったり、土をたがやしたりと、
よさそうな方法はなんでもとりいれ、世話をやきたがる米つくりより、
自然農法のように、肥料はいらないのではないか、
草もとらなくてもいいのではないか、
というかんがえ方のほうがただしいとおもっていた。
しかし松本氏は、わたしと逆な方向に、ひとつの真理をみつけている。
くりかえして強調したい。
「隠し味は要らない」なんてつまんない事を言う人がいます。が、どんどん余計なものを入れていきます。
しごく名言である。
これこそが松本流処世術の真髄であり、
おそらく料理はそのうちの ごく一部にすぎない。
まちがったほうがおもしろい、
うまくいかなくても心配ない、など、
わたしの琴線にふれる大雑把な美意識に、
松本氏の「余計なものを過剰にくわえる」をあらたに くわえたい。