『ブルース・ブラザーズ 2000』
(ジョン=ランディス:監督・1998年・アメリカ)
『ブルース・ブラザーズ』の続編として
1998年に公開されている。
前作がすばらしければ、そのつづきをみたくなるのがファンの心理だ。
お手がるなヒットをみこんで おおくの続編がつくられる。
『ゴッドファーザー』や『エイリアン』など、
パート2にも、すぐれた作品はおおく、
ファンとしては ますます手をだしたくなる。
ただ、ずっこけてしまう作品もまたおおく、
『ロッキー』や『ジョーズ』のように、
がっかりさせられる続編は、ひとつのジャンルとなっている。
残念ながら、『ブルース・ブラザーズ 2000』は
さえない続編の典型だった。
すこしものたりないのではなく、徹頭徹尾、さえない。
おなじ監督がつくっているのに、
前作のよさを ひきついでいないのは、
どんな問題があったのだろう。
作品をけなすよりも、あまりのひどさに
かえってかんがえさせられる。
かなりたかいレベルの失敗作であり、
ここまでくるとまなぶ点がおおい。
以下、ネタバレあり。
「あれから18年」とオープニングでしめされ、
刑期をおえたエルウッドが、
刑務所からでてくる場面からはじまる。
18年分の脂肪により、デブとまではいえないものの、
エルウッドは全体に肉がつき、うごきがおもい。
18年たっているのに、18年まえを ふたたびめざしたのが
この作品のそもそもの失敗だった。
18年まえとおなじように、バンドを再結成しようと
エルウッドはむかしの仲間をたずねる。
18年まえとおなじような車をもとめ、
18年まえとおなじようにうたっておどろうとする。
でも、だめだった。
18年もたっているからだ。
前作のストーリーをなぞるだけなので、
かんじるのは なつかしさよりも、 腐敗臭だ。
わたしもまた、わかいころとおなじやり方をくりかえしがちだ。
体型を維持したいのはあたりまえとしても、
むかしとおなじように からだがうごいて当然とおもいこむ。
旅行にでかけても、わかいときの旅行とおなじスタイルをもちこみ、
なんとなく しっくりこないのに気づく。
からだや 家族構成など、状況は以前とことなっており、
おなじやり方をくりかしても、おなじ満足にはつながらない。
かつてうまくいった体験を、もういちどくりかえそうとする。
そのほうが 楽だからだろう。
むかしといっしょ、よりも、
なにかこれまでとはちがうやり方をとりいれるほうが、
とりくみ全体に健全な空気をもたらす。
うまくいかせようとするよりも、
あたらしい体験こそをもとめたほうがいい。
それにしても、ひとをあやめたわけではないのに、
18年は刑期としてかなりながい。
30歳のときに 懲役をスタートさせたら、18年後は48歳。
ふつうだったら はたらきざかりの期間を、
エルウッドはずっと刑務所ですごしており、
48歳になってシャバにでられても、
浦島太郎状態で、なかなか社会に適応できそうにない。
エルウッドが なんの違和感もかんじずに、
すぐにバンドを再結成しようとするのは
映画のなかでしか ありえない。
そんなエルウッドに、まわりのひとたちまで
かきまわされてしまった。
歳をとるにつれ、ふけこむのはしかたないとしても、
おろかに歳をかさね、わかいころの記憶にしがみつかないよう、
この作品の警告に耳をかたむけたい。