録画でみた『ブルース・ブラザーズ』は劇場版であり、
いくつかのシーンがカットされていた。
DVDにはオリジナルフィルムのほうがおさめられているので、
手もとにおいておきたくなり、アマゾンに注文する。
いくらいい作品でも、DVDをかう気になるなんて、
わたしにしてはきわめてめずらしい(3作目)。
それほどこの作品はわたしの琴線にふれた。
DVDには48分のメイキング=オブ『ブルース・ブラザーズ』
がついていたので さっそくみてみる。
DVD作品によくある2次的な情報であり
(メニューに「ボーナス資料」とかいてある)、
関係者へのインタビューからなっている。
ジョン=ベルーシはすでになくなっているので、
ダン=エイクロイドと監督のジョン=ランディスを中心に、
出演したミュージシャンや作品のスタッフが
当時をふりかえっている。
自分たちが関係した作品は、だれにとっても特別なものだろう。
どんな作品にもそれなりの苦労はあるだろうし、
自分たちがどんなおもいをその作品にぶつけたのかをかたりたい。
でも作品は、あくまでもその本編によって評価されるべき、
というのがわたしの基本的なかんがえだけど、
すきな作品となると、またはなしがちがってくる。
どんな情報でもしりたい。
もっとも、たいていのはなしは
ウィキペディアですでに紹介されている。
インタビューをうけているミュージシャンの
スティーブ=クロッパーとドナルド=ダック=ダンは、
清志郎が以前いっしょにうたっていたひとだ。
ブルースとメンフィス、それに清志郎がつながっていたのがうれしい。
ランディス監督は、1980年だからつくれた作品であり、
いまでは金がかかりすぎると、くりかえし強調していた。
映画のなかでいい曲をつかえば、
当時とはくらべものにならないほど たかくつく。
シカゴ市内であんなカーチェイスの撮影は、
とても市が協力してくれない。
実力のあるミュージシャンの参加にくわえ、
いくつかの偶然と幸運のおかげで
『ブルース・ブラザーズ』はできあがった。
それにしても、税務署のビルにつっこむラストはみごたえがある。
川からは警備艇、空からはヘリコプター、
地上では騎馬隊に特殊部隊、さらに装甲車と戦車までが
ふたりをマジでおいまわす。
あれだけ世間をさわがしたら、
18年の懲役をいいわたされても文句はいえない。
レイ=チャールズの楽器店で、
エルウッドがトースターに目をとめるのがすごくおかしい。
「ん?なんでこんなところにトースターが?」
と、気になったエルウッドは
白いパンを上着の内ポケットからとりだし、
そっとのっけてみる。
この場面には伏線があって、エルウッドは自分のアパートで
ハンガーみたいな形の針金にパンをのせてやいている。
エルウッドにとって白パンは、
そうやってやくのがあたりまえなのに、
楽器店には ほんもののトースターがあったので、
ついためさずにはおれなかった。
本筋からはなれて 脇のものに関心をむけがちな
エルウッドのかるさとこだわりがうかがえるし、
この作品の雰囲気をあらわしていて、わたしのすきな場面だ。