フィリパ=ピアスといえば
『トムは真夜中の庭で』が有名だけど、
この『真夜中のパーティー』は、
表紙の絵があかぬけており、いかにもおもしろそうだ。
図書館をぶらついているとき、目をひいたので かりてみる。
ページをめくると、まえによんだ本なのに気づく。
でも、ほとんどわすれているので問題ない。
8編からなる短編集だ。
ねるまえのお酒を手にして よみはじめる。
いちにちのおわりに、寝酒をたのしみながら
みじかいものがたりをひとつよむのは、
わるくない読書におもえてきた。
アラビアンナイトを地でいく夜のおたのしみだ。
児童文学の短編なのですぐによめるし、
よみおえたとき、まだグラスにすこし酒がのこっているのがいい。
ものがたりをふりかえりながら グラスをからにする。
ながい小説だと、よみすすめながら
つい酒をおかわりしたくなる。
ねるまえの読書は、児童文学の短編にとどめをさす。
一編めは、「よごれディック」。
ディックは「ぼく」の家のおとなりさんで、
動物とがらくたにかこまれてくらしている。
廃品回収をなりわいにしているようで、
いつも荷車にがらくたをのせ、てくてくあるいている。
ほかにもウサギとメンドリをかい、
現金をかせいでいるようすだ。
「よごれディック」というくらいだから、
きっと身のまわりにむとんちゃくで、
女のひとは不衛生な男をきらうから、
「ぼく」のお母さんはディックをきらっている。
近所のメイシーさんは、奥さんにかくれて
きいろい犬をかっていたけど、
奥さんにばれると すぐにすててこいとめいじられる。
メイシーさんは、奥さんのいうことが絶対なので、
いわれたとおり、犬をもといた場所の道路につれていく。
犬は、両目がみえず、道路におきざりにされたら
すぐに車にひかれてしまうだろう。
「ぼく」は、なんとかしたいけど、
どうしたらいいのかわからない。
そんなとき、とおりかかったディックが、
犬をだきよせて荷車のうえにのせた。
よごれディックは動物たちの世話をよくやいた。そして養うことにきめた老犬の世話もよくしてやった。犬はいつも、えさをたっぶりもらって、ブラシをていねいにかけてもらっていた。ときどきディックは、長いひもの先に犬をつないでつれて出たが、だいたいのところ犬は家で気持ちよく暮らさせてもらっていた。
ある事件がおきて、ディックは村からすがたをけしてしまう。
ウサギとメンドリは、村のひとにあげてしまった。
お金はごくすこししかもっていなかったにちがいない。まだお札がいっぱいつまっている靴下が、家賃をはらうたびに書きこむノートといっしょに、暖炉の上に置いてあった。残してあったお金は、家賃と、つぎの借家人のために家と庭とをきれいにする費用には、じゅうぶんだった。
自分がわるいわけではないのに、
ディックはなぜなにも説明しないまま
村をでていってしまったのか。
グラスにのこったわずかなお酒では、
ぜんぜんまにあわず、おかわりがしたくなる。
ただ、あと味はわるくない。
わたしが年おいたときのくらし、
そして自由について おもいをめぐらす。