「オトナになった女子たちへ」をたのしみにしている。
今回は、おみやげをかわなくなったはなしだ。
今、わたしの軒下には
「冷やし中華 はじめました」的に、
「お土産 やめました」
が、風に吹かれているのだった。はためいている。旅行で、お土産を探すのをやめた。(中略)
旅先で「義理」を考えないのがとても気持ちいいのだった。
そんなある日、伊藤さんは
「もらってもあげてもなんのプレッシャーもない」
粋なおみやげをオトナ女子の友人からもらうのだけど、
それはまたべつのはなし。
ここでは軒下でゆれる旗についてかく。
「冷やし中華 はじめました」的にがうまい。
ちょっとしたニュースをさりげなくしらせる効果は、
たしかに「冷やし中華」の旗がぬきんでている。
「いかがですか?」ではなく、
「はじめました」といってるだけなのに、
旗をみたひとは、「じゃあたべてみるか」と
なんらかの反応をしめしたくなる。
わたしもなにか適切な「おしらせ」がしたくなった。
すぐにおもいついたのが、
「人生、半分おりてます」
だけど、これはちょっと旗がおおきすぎる。
冷やし中華サイズの旗にかぎるとして、
わたしはどんな旗を
軒下にひらめかせられるだろう。
わたしの場合「お土産 やめました」というより、
「お土産 やめてます」のほうが正確だ。
「おみやげかわない主義者」であると職場で宣言し、
研修にださせてもらっても、
個人で旅行にいったときも、
基本的におみやげをもちかえらない。
研修は、いそがしいなか、
事業所のお金でいかせてもらうのだから、
感謝の気もちとして おみやげを職場にもちかえるのが
社会人としての「常識」なのだろうけど、かわない。
かわなければ、あんがいなんとかなるもので、
とくにいやなおもいをしたことはない。
そうはいっても、伊藤さんが「お土産 やめました」
の旗をかかげたくなる気もちはわかる。
なにもおしらせなしに おみやげをかわないと、
職場や世間にかなり義理をかいてしまいそうだ。
そんなときに、冷やし中華的な旗が
方針の変更をつたえるのにピッタリくる。
玄関にはる「セールスおことわり」では、
一方的な宣告であり、うるおいがない。
冷やし中華の旗をひっぱりだしてきた
伊藤さんの観察力をたかく評価したい。