『スーパーカブ』(トネ・コーケン 角川スニーカー文庫 )
朝日新聞の書評に『スーパーカブ』が紹介されていた。
前島賢氏による記事で、
女の子がホンダのオートバイ「スーパーカブ」にであい、
しだいに生きるちからを身につけるはなしだという。
両親をうしなった女子高校生が、
山奥でひとりぐらしをしている。
彼女がカブを1万円で手にいれたところからものがたりがはじまる。
・だんだんとカブになれ
・自分の生活にあわせてカスタマイズし
・メンテナンスの方法をまなび
・配達のアルバイトをはじめ
・おなじように カブにのる女性の友だちとであい
・彼女がカブで富士山にいどんだはなしに耳をかたむける
うまいところに目をつけたものだ。
カブを脇役に、女の子がだんだんと自立していくはなし。
アイデアをおもいついた時点で
おもしろさが半分ぐらい保証されたようなものだ。
男の子が主人公では、カブの個性がいかされないだろう。
非力で、だれにでもあつかえる、
スーパーカブだからこそ、女子高校生にぴったりだ。
すぐにでもよみたくなったけど、
よめばきっと実物のカブがほしくなる。
そうでなくても、町でみかけるカブについ目をやって
妄想をはじめるわたしなので、
よめばいっぺんに背中をおされて ポチッとしそうだ。
いろいろな種類のオートバイがあるなかで、
スーパーカブは 愛好家がおおく、
カブによる旅行や、カブのカスタマイズなど、
カブだけからなる独立したジャンルができあがっている。
世界的にみても、これだけ個性的で
おおくのひとから愛されるオートバイは、あまりないのでは。
わたしもまた、老後はカブとともにすごそうと
漠然とした夢をえがいており、
カブ旅行の記事をこのんでよんでいる。
とはいえ、ここはやはり女子高校生が主人公のほうがいい。
『セーラー服と機関銃』は、ヤクザの親分と女子高校生という、
ふつうならとおくはなれた ふたつをくっつけたから刺激的だった。
スーパーカブと女子高校生の関係は、
いわれてみればぴったりなのに、
これまでだれもおもいつかなかった。
アイデアの勝利だ。
よんでいないのに、あたまのなかで
おもいえがくだけでもたのしい。
はやくよみたいけど、よむとまちがいなく影響をうけそうでこわい。