火曜日は三森すずこさんの担当で、
きょうのゲストはヒロシさんだった。
「ヒロシです」のヒロシだ。
ひとむかしまえ、ネガティブなセリフを
ひとりがたりしていたヒロシさんは、
いまもまたネガティブさを前面にだしている。
でも、その内容はずいぶん円熟味をましてきた。
いぜんは、よくあるネガティブにすぎなかったのが、
いまはさらにそれを
「ネガティブであつかいにくいひと」まで芸をたかめている。
わたしもけっこうネガティブな人間なのに、
ついもっとポジティブにならないと、とまじめにかんがえがちだ。
何十年もネガティブをやってきたのだから、
そうかんたんにポジティブになれるわけがない。
ヒロシさんのネガティブ路線を参考にして、
ネガティブでなにがわるいと、ひらきなおりたくなった。
ヒロシさんについて、むかしみた芸のほかには
どんなひとなのか ほとんどしらない。
自虐ギャグで絶大な人気をえていたピン芸人で、
その後まったくうれなくなり
(自分からテレビにでなくなったらしい)、
世間のつめたさをしっかり味わったひとと解釈している。
三森さんの番組では、ネガティブであつかいにくいひととして
「おれのことほんとにしりたいの?」と
すぐにうたがったり ひねくれたりして、
あつかいにくさが芸になっていて おかしかった。
「しくじり先生」を絵にかいたような人生で、
まわりもヒロシさんのうきしずみをしっているから、
はれものをさわるようなあつかいだ。
なにかいったとき「おもしろくないでしょ?」と
自分からいじけるので、まわりのあわてぶりがおもしろくなる。
地獄をみたひとのつよさ・すごさがにじみでて、
ほかのひとにない芸風となっている。
おちるとこまでおちれば、もうこわいものはない。
ネガティブだって あんがいわるくないのかも。
世のなかは、とかくポジティブさがもとめられがちで、
だからこそ かえって生きにくいひとがたくさんいる。
時代は地味をこえて、ネガティブへと舵をきりつつある。
ヒロシさんの趣味はアウトドアだそうで、
なぜなのかをきかれると、
自然はみんなに平等だから。
うれてるひとにも、うれてないひとにも、
平等に雨がふる。
というのがおかしかった。
ふつうなら、お天道さまは、だれにも平等に陽をそそぐ、
といいそうなところなのに、
根っからネガティブなひとは雨をまずイメージするのだ。
ヒロシさんの真骨頂をみたおもいだ。