2017年07月19日

『ベスト10 本の雑誌』本の雑誌がえらんできた28年間のベスト10

『ベスト10 本の雑誌』(本の雑誌社)

1989年から2016年まで。28年間に本の雑誌が選んだ年間ベスト10がこれだ!

とある。
28年にわたるながい年月のなかで、
「本の雑誌」がとりあげてきた最良の記事を
10えらんだのかとおもっていたけど、ちがった。
『本の雑誌』は、毎年1月号に、その年のベスト10をえらんでおり、
この本は、28年分の座談会をぜんぶまとめたものだ。
28年分の「年間ベスト10」があつめられると、
たしかにこれは、ひとつのまとまりであり、
本えらびに役だちそうだ。
1500円(プラス税)なのですこしまよったけど、
目黒考二さんの「まえがき」をよむと、
この本は かうだけのねうちがあるとおもえてくる。
きちんと議論せず、声の大きい者、早く発言した者の推薦本がいつも上位を独占している、という批判はあるかもしれない。そう指摘する人がいたら、すみません、と言うしかない。本当にそうなのだから。ただひとつ言えることは、こういうベスト10はお遊びだということだ。もともと本に順位をつけること自体が可笑しいのである。本とはそういうものではない。だからこれは、お遊びにすぎない。

わたしも、ずいぶんテキトーなはなしあいで
ベスト10がきまってしまう座談会をよみ、
さすがにこれはいいかげんすぎると、しばしばおもっていた。
でも、「お遊び」とおもえば 納得できるし、
よくそのスタイルを28年間もつづけたものだと感心する。
その年のベスト10を参考に、本をよんでみると、
わたしにはさっぱりよさがわからないものがある。
本の雑誌がえらぶベスト10と、わたしのこのみは、
たいして相性がよくないけれど、
一年にいちどのおまつりとして、毎年たのしみにしている。

ベスト10えらびをまとめてよんでいると、
1回の座談会を もっとながく紙面にのこしたほうが
いいようにおもえてくる。
討論を、たった7ページにまとめてしまうのではなく、
議論をつくして作品のよさをつたえてほしい。
一年にいちどのイベントなのだから、
ほかの企画はサラッとながして、
圧倒的なボリュームを、ベスト10えらびにささげたほうがいい。
なぜ自分はこの本をえらんだのかを、
推薦するものが、くわしくはなしてくれたら、
読者はきっとその本をよみたくなる。
バランスなんてかんがえず、
「超大型特集」としてのベスト10をよんでみたい。
そうすると、別冊の形になってしまうのだろうか。
ほかではみられないいいかげんな座談会を、
もっとおもうぞんぶんによみたい。

posted by カルピス at 22:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする