『みみずくは黄昏に飛びたつ』(村上春樹/川上未映子・新潮社)
村上作品の熱心なファンである川上未映子さんが、
4回にわたるロングインタビューで村上さんにたずねる。
帯には、「ただのインタビューではあらない」のコピーがあり、
『騎士団長殺し』を中心に、小説家であり、
村上作品のファンである川上未映子さんでなければ
たずねられないような、創作にまつわるはなしがおおい。
引用しだしたらきりがないので、
ここでは かんじたことをすこしだけ。
インタビューの1回目は、文芸誌『MONKEY』に掲載されており、
それが そのまま本書の第1章となっている。
わたしは『MONKEY』により、すでに第1章をよんでいたわけだけど、
かかれている内容を ほとんどわすれていた。
『みみずくは〜』をよみながら、
大切そうなフレーズに えんぴつで線をひく。
あとから『MONKEY』をひっぱりだして、
まったくおなじ ふたつのインタビューをくらべてみると、
さすがといいうか、ほぼおなじようなところに線がひいてあった。
はじめてよむ本として あらたに感心するなんて、
いくら線をひいたって、これではなにもしないのといっしょだ。
ひらきなおってべつのいいかたをすると、このインタビューには、
なんどよんでも感心したくなるおもしろさがつまっている。
「優れたパーカッショニストは、一番大事な音を叩かない」
なんて、もういちどよんでも線をひきそうだ。
村上さんが小説をかくときの、具体的なうごきと気もちのもち方を、
これほどこまかくききだしたインタビューはない。
そして、村上さんの 小説にたいする勤勉さと自信が、
川上さんの質問によりうかびあがる。
これまでわたしは 川上未映子さんの作品をよんだことがないけど、
どんな小説をかくひとなのか、しりたくなった。