自宅の庭に、10万冊もはいる書庫をたてた
水鏡子さんが紹介されている。
10万冊というと、ちょっとした図書館といっていい。
水鏡子さんは、結婚せず、自動車ももたず、
ひたすら本に時間とお金をかけてきた。
庭にたてた書庫は、3番めの書庫であり、
自宅にある第1書庫と第3書庫をあわせると、3万冊もはいるのに、
それが、予想よりはやくいっぱいになり、第3書庫が必要になった。
水鏡子さんは、とくに親から財産をひきついだわけではなく、
自分ではたらいたお金を、本をかうのにあててきた。
車を持たんだけでも年に2,30万ずつゆとりが出るんですよ。それだけで30年で1千万。
嫁さん持たなかったら1千万。子どもを持たなかったら2千万。合わせて4千万くらいできるわけです。
おもしろかった企画は、
「蔵書家の家族の声をきけ!」で、
目黒考二さんの次男である謙二さんが
目黒家の事情を紹介している。
さきほどとりあげた水鏡子さんは、
家族がいないから問題はないけど、
家族のある蔵書家は、家でどうふるまっているのか。
目黒さんは、まあ、だいたいは予想どおりというか、
まったく家族の迷惑をかえりみない態度をつらぬぬいている。
目黒さんというと、家族小説がだいすきで、
こまやかな感情だって当然ながら理解しているのに、
自分の家族となると、またはなしはべつらしい。
べつというよりも、ひとに迷惑かもしれないという
ふつうの感覚がすっかりぬけているのが不思議なほどだ。
わたしは、それほど本をもっているわけではないけど、
台所に自分用の本棚をもちこんでいるし、
わたしの部屋においてある配偶者のタンスが非情に邪魔なので、
これさえなければ理想の書斎が完成するのにと、
非情にネガティブな感情にとらわれがちだ。
どんな理由をつけたら ほかの部屋へ移動できるのか、
延々とかんがえつづけるけど、いいアイデアがうかばない。
けっきょく わかれるしかないのかと、はやまりそうになる。
基本的に、本をためこみがちな人間は、
自分の欲望だけに忠実であり、
まわりが迷惑かどうかまで気がまわらない。
書庫をたてたら、本の整理がいっきょにすすむので、
家族のためにもいいことなのだろう。