2017年11月05日

『アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方』

『アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方』
(ダンテ=アリオラ監督・2012年・アメリカ)

「新しい人生」や「もうひとつの人生」って、
おおくのひとがいちどくらい夢みるのではないか。
やたらとおなじようなタイトルを目にする。
「見つけ方」と「はじめかた」も よくにていてまぎらわしい。
どっちにしても いまさら新鮮味がないので、
ほかの作品とまちがわないために、
「アイ・アム・ニューマン」をあたまにつけたのかも。

主人公の男性は、それまでの生活をチャラにして
再スタートをこころみる。
べつの人間としてうまれかわるために、
偽造した身分証明を用意した。
自分は海辺で行方不明になったようにみせかける。

この作品は、とりわけ男の夢かもしれない。
ベンツのオープンカーでの旅だち。
となりには偶然しりあったきれいな女の子。
トランクには札束のつまったカバンがおさまっている。
再スタートする町をめざしてのロードムービーだ。
内容は、たいしたできだとおもわないけど、
これだけの小道具を配置して、
過去と現在をそこそこからめていけば、
おもしろい作品にならないわけがない。

チャラといえば、きょうの「ラジオマンジャック」
(NHK-FM)は、リセットがテーマだった。
チャラもリセットもおなじようなものだ。
赤坂さんが、スマホを水につけてしまい、
あたらしいスマホにかいかえなければならなかったという。
バックアップがどれだけ大切かを強調されていた。
人生に、バックアップって、あるだろうか。
IT時代においても、人間はデジタルにかわれない。
うわがき保存がきかないからこそ、人生はスリリングだ。

映画にはなしをもどすと、
そうかんたんに人生はリセットできないようで、
けっきょく ふたりとも それまでの生活をすてきれない。
自分がもとめていたものは、以前のくらしのなかにあった、
という よくありがちなはなしにとどまっている。
すっかりリセットするまでもなく、
仕事をやめたりひっこしすれば、
かなりのていど あたらしい生活となる。
離婚だって、そうとうリセット感がたかいだろう。
そこそこ・ちょぼちょぼなリセットだからといって、
それがかんたんとはかぎらない。
「新しい人生」や「もうひとつの人生」は、
あんがい手にしにくい永遠のテーマなのかも。

posted by カルピス at 21:27 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする