帯津良一さんの『不養生訓』(山と渓谷社)の広告が、
新聞にのっていた。
「お酒・ギャンブル・熟年の恋・・・大いに結構」とある。
さらには「大食、美食、不摂生、メタボ、何でもOK!」とも。
ただし、「ときめきを与えてくれるものなら」
という条件つきだ。
おもしろそうな本なので、
本屋さんでたちよみしてみる。
数行の広告がすべてをあらわしており、
とくにかわなくてもいいようにおもえた。
帯津さんのように、健康な80歳は、
それだけですでに「達成」しており、
どんな極端なことをいってもゆるされる。
だから参考にならないか、というとそうでもなく、
どうせなにかで死ぬわけだから、
できるだけ楽観的な姿勢でくらしたい。
ときめきが大切というのは、
からだにわるいことをしない、というひき算ではなく、
こころがよろこぶことをする、というたし算の養生訓だ。
こりずにくりかえす二日よいを反省するよりも、
たのしい時間をもてたとかんがえる方がいい。
わたしはタバコをすわないけれど、
帯津さんがいわれるように、たのしんですうぶんには、
あんまり目くじらたてなくてもいいのではないか。
からだにいちばんわるいのはストレスだといわれている。
最大のストレスが仕事だったり、
満員電車での通勤だったりするわけなので、
養生するのもなかなかむつかしい。
バランスのとれた食事、なんてのも
もっともらしいけど、じっさいはどんな食事なのか。
荻原魚雷さんのいう「一に換気、二に日当たり」や、
糸井重里さんの
「ちゃんとメシ食って、ちゃんと風呂入って、ちゃんと寝ること。
そういう人にはかなわないよ」
みたいなあたりまえの養生訓がわたしはすきだ。
帯津さんの不養生訓も、こうしたかんがえ方とすこしにている。
それらにつけくわえて、わたしが気をつけているのは、
「心配してもしょうがないことは心配しない」というのと、
これにつけたして、村上春樹さんの
「きっとうまくいく。うまくいかなかったら、そのときにかんがえる」
にすごくたすけられている。
これぐらい心配をとおざければ、
ストレスから かなりはなれてくらせる。
口でいうほど、じっさいに楽観的でいるのは、かんたんではない。
だからこそ、
「一に換気、二に日当たり」
「ちゃんと、メシ・風呂・寝る」
みたいな、シンプルで具体的な指針がたすけになる。