デイリーポータルZに林雄司さんの
「パリのカフェで絵はがきを書きたかった」がのった。
http://portal.nifty.com/kiji/180301202197_1.htm
タイトルがすべてをあらわしている記事だ。
林さんの気もちが、わたしにはとてもよくわかる。
パリといえばカフェ。
カフェでなにをするかといえば、絵はがきをかくにきまっている。
パリときけば、カフェでかるくなにかをつまみながら
サラサラっとペンをはしらせる自分をイメージする。
エッフェル塔やルーブル美術館をたずねるよりも、
とにかくパリといったらカフェだ。
わたしはなんどかパリにいったことがあり、
すこしぐらいエラソーに自慢してもしょうがないかもしれない。
まず、セーヌ川ぞいをジョギングした。
有名なシテ島とポンヌフもはしった(ようにおもう)。
もうひとつ。セーヌ川ぞいにあるお店で、
「オーティス=レディングのカセットをさがしています」
とたずねたら、一発でつうじた。
でも、残念ながら、「カフェで絵はがき」はやってない。
つれといっしょにカフェへいって、
外においてあるテーブルにつき、
ビールくらいはのんだかもしれないけど、
けしてそれは「カフェで絵はがき」ではなかった。
映画のワンシーンで、うしろのほうにうつっているカフェでは、
地元のひとがエスプレッソをすすり、新聞なんぞをよんでいるけど、
旅行者にはいささかハードルがたかい。
ひとり旅行のときは、観光客であることを堂々と主張し、
カフェでは丸テーブルにおちついて、
エスプレッソをよこに、絵はがきをとりだすのが
いちばんただしいすごし方である。
林さんの記事にのっている写真がそれだ。
それにしても、このSNS時代に、
いまでもちゃんと絵はがきをうっているのは
さすがにパリということなのか。
そういえば、このまえタイを旅行したときも、
おみやげ屋さんには絵はがきがおいてあったような気がする。
旅さきでは絵はがきをかくのが、
いまだに世界共通のおやくそくとしてのこっているのか。
わたしがさいごに絵はがきをかいたのは、
25年まえのタイ旅行までさかのぼる。
おしゃれなカフェではなく、
ゲストハウスの食堂で、やめてきた職場のひとたち
ひとりひとりに、あいさつとお礼をかいた。
絵はがきは、すでに現地の写真がのっているだけに、
はなれてくらすひとへのたよりにつかいやすい。
インスタグラムなんていうのも、
けっきょくは絵はがきみたいなものかもしれない。