2018年03月06日

『きみはいい子』(中脇初枝)おいこまれている日本のお母さんたち

『きみはいい子』(中脇初枝・ポプラ社)

『きみはいい子』は連作短編集で、
2番めにおさめられている「ぺっぴんさん」には、
公園であそぶ母と子どもたちがかかれている。
表面上は笑顔をうかべているお母さんたちも、
いったん自分の家にかえると、
外でつけていた やさしげなほほえみをはずし、
虐待にみえるやり方で子どもたちをはげしくしかる。
ひとりの母親だけではない。全員だ。

ひどいなーとおもいつつ、
お母さんたちをそこまでおいやったのは
お父さんたち、そして日本社会なのが すぐにおもいうかぶ。
母親たちは、夫をあてにできないのに、
その夫から、家族から、まわりから、
ちゃんとした子にそだてるのが
母親として当然の任務だという
目にみえない圧力のなかで 子どもたちとむきあっている。

朝日新聞に連載されている
「たぶん、僕らの問題です」は、
男女格差の国別ランキングで、
日本が114位だったのをうけ、
なぜ男女格差がなくならないかをさぐっている。
連載の8回目に、ホストクラブを経営する
手塚マキさんのコメントがのった。
手塚さんは、「男は全面降伏しかない」という。
#MeTooを告発した女性が批判されたことについて、
女性にも責任があると言うのは、いじめっ子が「あいつにもいじめられる要因があった」と言うのと同じです。「男性を支えるのが私の役目」と考える女性がいるとしたら、そういう気持ちにさせたのは男性優位社会。男は全面降伏するしかない。女性の責任を言うのは、いまある格差をなくしてからの話です。

わかったようなつもりでいるわたしも、
しらないうちに男女差別をして、
女性をキズつけているのだろう。
いらつく母親にそだてられた子どもたちは、
こころにおおきな闇をかかえ、おびえながらくらしている。
子どもたちをしっかりだきしめたり、
だいすきだよ、と無条件でかわいがったり、
じょうずにできたと うんとほめたりと、
シンプルに子どもたちを愛せないものだろうか。
自分が親から愛された実感をもたないひとには
どうやって子どもにせっしたらいいのか
わからないというのをきいたことがある。
問題はいろいろあるにしても、
すべての子どもたちが、
こころをみたされて そだってほしい。
それには、まず男たちが、
職場からはやく家にもどらなくては。

posted by カルピス at 22:13 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする