いっしょにくらしているネコのピピが、
いたるところにオシッコするのでこまると、
このブログになんどもかいてきた。
ネコはふつう いちにち1回のオシッコしかしないのに、
腎臓をわるくしているせいで、
ピピは ほぼ正確に2時間おきのオシッコが
リズムとしてできあがっている。
それをトイレでしてくれたらなんにも問題はないけど、
ベッドや枕のうえだったり、わたしにしがみついたまま
パジャマをぬらしたりするとがっくりくる。
被害をおさえるため、ベッドにずらっとトイレシートをしきつめる。
このまえおきたら、そのトイレシートが
ひろい範囲で血によごれている。
夜はくらくて気づかなかったけど、
朝になり、殺人現場みたいなまっかなシーツ
(ほんとはトイレシート)をみておどろいた。
映画ずきなひとには、『ゴッド・ファーザー』の有名なシーンみたい、
といえばわかってもらえるだろう。
競走馬のオーナーが目ざめると、ベッドに血の海ができている。
おどろおどろしい音楽にあわせ
ゆっくりカメラがひいてベッド全体をうつしだすと、
血の海のみなもとには、切断された馬のクビがよこたわっていた。
コルレオーネ=ファミリーを敵にまわしたものは
どうなるかをしらせる、ショッキングなメッセージだ。
ピピがつくった血のよごれは、『ゴッド・ファーザー』でながれた
10000分の1程度の規模でしかなかったけど、
まっしろなシーツについたあざやかな血の赤い色は、
たとえ量がすくなくても みたものをおどろかす。
ただでさえからだがちいさく、そのうえに
ながく病気をわずらい やせほそっているピピが、
これだけ血をたくさんながせば 命にかかわるのではないか。
ぐったりよこたわっているピピをだきおこすと、
手足が血でよごれ、口からも血をながしている。
口内炎があり、ごはんをたべたときに口のなかをいたがるピピが、
ツメで口をひっかいて、口のなかをきったのだろう。
タオルでからだをふくと、ほかにキズはなかった。
口内炎で食がほそり、腎臓もわるいピピなのに、
そのうえ大量の出血をしたらどれだけダメージをうけるだろう。
わるいなりに安定した状態をたもってきたけど、
いよいよこれでピピともおわかれかと、
わたしは最悪の事態も覚悟した。
むかしかっていた犬が、フィラリアにかかり、
口から血をながしながらくるしんだのをおもいだす。
でも、なんども修羅場をくぐってきたピピは、
今回もまたしぶとかった。
口からの血はやがてとまり、ごはんをたべられるようになる。
ますますワガママになったピピは、
お皿にいれたまま 時間がたったモンプチではなく、
新鮮なモンプチをよこせと、あたらしく缶をあけるよう、
なき声をあげて しぶとくうったえる。
さっき食事をしたことをわすれ、
すぐにつぎの食事をもとめる認知症の老人みたい。
ピピとのおわかれまで、もうしばらく時間をもらえたようだ。