2018年03月13日

23歳のオイに、ワインのたのしみ方をおそわる

東京でくらす23歳のオイがあそびにきた。
就職がきまり、さいごの春やすみをたのしんでいる最中で、
あいさつをかねて、わざわざ島根まできてくれた。
4月から海運業の会社につとめるそうで、
何年かさきには外国にある支社ではたらきたいという。

わたしはまえからおおきな客船やタンカーなどに、
どんなシステムで燃料や水をつみこむのか、
計算や発注のだんどりがどうなっているのか、気になっていた。
豪華客船に、いったいどれだけの水や食糧を準備したらいいのか。
おびただしい量の日用品を、どこに発注し、
どうやってつみこみ作業をすすめるか、などが、
なぜかとても気になる。
オイにそんなはなしをすると、
まさにその仕事をぼくがするんです、といっていた。
彼が仕事になれ、海運事業の全体を把握したら、
わたしにわかりやすく説明してくれるだろう。

オイは、つい最近まで、東京駅にある
高級フランス料理店でアルバイトをしていた。
ソムリエがいて、いちばんやすいワインでも、8000円という店だ。
自然とオイもワインに興味をもつようになり、
わたしにカベルネ・ソーヴィニヨンと
ピノ・ノワールのちがいをおしえてくれた。
わたしは、おいしいか、おいしくないかで
ワインを評価することしかできないワインオンチなので、
オイがいう品種による特徴のはなしがおもしろかった。

夕ごはんをたべにいったあとでイオンへより、
わたしがいつものんでいる680円の安ワインを
オイにのんでもらって感想をきいた。
彼は、カベルネ・ソーヴィニヨンがいちばんすきだといい、
ピノ・ノワールもかるくておいしいとおしえてくれる。
せっかくの機会なので、両方をかって、のみくらべてみた。
わたしには、品種がちがうことはわかっても、
その特徴をうまくひきだしたできかどうかまではわからない。
ピノ・ノワールはかるいワインといわれているけど、
わたしには野性味のつよい、クセのある味におもえる。
個性的で、おいしいピノ・ノワールは、
カベルネよりもワインらしくておいしい。
けっきょくわたしの頭のなかは、
なにがなんだかわからなくなってきた。
おしいいワインはおいしいし、
おいしくないワインはおいしくない。

オイによると、ワインをたのしむコツとして、
品種のちがいによるワインの特徴をおぼえるといいそうだ。
1000円以下のやすいワインでいいから、
たくさんのワインをのみ、品種による特徴がわかるようになれば、
そのつぎのステップとして、地域や国によるちがいをたのしんでいく。
23歳のオイに、ワインとのつきあい方をおそわるとはおもわなかった。

島根にはわりとおおきなワイナリーがあるけれど、
ぜんぜんおいしいとおもわないので、
わたしはことあるごとにわるぐちをいっていた。
でもオイは、「まずいワインなんてのんだことがない」といい、
どんなワインにも、それなりのよさをみいだしてたのしんでいる。
わたしより、ずっとおとなの態度だ。

わたしが仕事にでかけているあいだに
オイはワイナリーへでかけ、
メルローをおみやげにのこしてくれていた。
ワイナリーのなかでもたかいワインだ。
さっそくのんでみると、不覚にもおいしい。
地元にすみながら、さんざんワイナリーのわるぐちをいうわたしに、
ちゃんとしっかりしたワインもつくっていると、
実物をもってオイはわたしにおしえてくれた。
なかなかよくできた23歳だ。

posted by カルピス at 22:31 | Comment(0) | 食事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする