NHK-FMの「音楽遊覧船」をよくきいている。
番組は、週ごとに、4つの「旅」へいざなってくれる。
・ふるさとのうた 心の旅(ふるい愛唱歌など)
・ミュージックエクスプレス(列車や旅にかかわる世界の音楽)
・エキゾチッククルーズ(世界の伝統音楽から最新ポップス)
・映画音楽ワールドツアー(映画にまつわる音楽)
「ふるさとのうた 心の旅」では、
日本や世界の愛唱歌がよくとりあげられ、
わたしはにが手とする週なのだけど、
先日の木曜日には、リクエスト特集ということで、
じつにさまざまな曲がながれた。
・「おしえて」(「アルプスの少女ハイジ」の主題歌)
・「桜の雨、いつか」(松たか子)
・「パパと踊ろうよ」(アンドレ=クラヴォー)
・「でっかい青春」(布施明)
・「異邦人」(久保田早紀)
・「ハーイ!グラスホッパー」(高見のっぽ)
これらの曲名をきいただけでは、
いったいなんの番組なのか、
あてられるひとはそうおおくないだろう。
アニソンからシャンソン、ふるい歌謡曲に
いかにも「みんなのうた」らしい曲。
ごちゃまぜすぎて統一感がない、と
文句をいっているのではない。
こらだけカバーする範囲がひろく、
なんでもありのほうが、いつもの番組よりもおもしろかった。
番組担当の榊原広子さんは、
これだけふり幅のおおきなリクエストにたいし、
あくまでもまじめなコメントをはさみながら
にこやかにこたえるのだから ただものではない。
なにかお気にいりの曲をリクエストしたいときは、
「ふるさとのうた 心の旅」がおすすめだ。
番組のコンセプトにあいません、とことわられたりしない。
どんなジャンルでもうけいれてくれ、
雑多な曲にまぎれこみ、
みごとにフツーのリクエストにおもえるだろう。
わたしがリクエストするなら
AKB48の「涙サプライズ!」だ。
ハイジのつぎにこの曲がかかったら、
あまりにもとおくはなれた両者の距離に
わたしはなきだしてしまうかもしれない。
世界はこんなにも多様なのだと。
ハイジとAKB48が共存できる唯一の番組が、
「ふるさとのうた 心の旅」の木曜日である。
「ふるさとのうた 心の旅」は、
番組本来の路線による月・火・水よりも、
リクエストをとりあげる木曜日のほうがずっとおもしろい。
番組スタッフにすれば、由々しき事態かもしれないけど、
それはそれで、そうわるくない時間にしあがっている。
ラジオならではのゆるさを、視聴者がじょうずにいかして、
なんでもありの時間にと、番組をのっとったのが、
「ふるさとのうた 心の旅」の木曜日だ。