本田がけったコーナーキックをゴールキーパーがつかみ、
すぐに味方へころがして怒とうの速攻がはじまる。
2本つづいたフリーキックで日本はまえがかりとなり、
気もちのきりかえがおくれてしまった。
ベルギーのお手本のようなカウンターがみごとにきまり、
あっという間にゴールネットをゆらされる。
アディショナルタイムでのこの3点目は、
日本にとってあまりにもおもく、
おおくの選手がピッチにたおれこむ。
点をうばいにいくちからは、
選手たちに もうのこっていなかった。
ポーランド戦にしても、ベルギー戦にしても、
後半の のこり15分になると、
日本には点のはいるにおいがしなくなった。
だからこそ、ポーランド戦では、
ボールまわしをして 裏でおこなわれている試合に、
グループリーグ突破の可能性をあずけた。
西野監督はすきで時間かせぎをしたわけではなく、
きわめてリスクのたかいギャンブルなのを承知で、
でもそれがいちばん可能性のたかい方法だったから
10分間ボールまわしをさせた。
西野監督の判断がさえていたというよりも、
点をとるちからがのこっていなかった
残念な現実からのくるしい選択だ。
ベルギー戦で、もう1点ほしいときに、
選手交代でいれたのが本田と山口というのも、
日本の限界をしめしている。
おなじような場面で、3ども本田をつかわざるをえなかったのは、
それだけ日本には、きりふだとなるカードが かぎられていたからだ。
ベルギー戦は、おしいところまでたたかったとはいえ、
あと一歩というよりも、おおきな差をかんじた後半の15分だ。
ベルギー戦のあとで、柴崎岳がこうはなしている。
「総合的に見れば、(退場者が出た)
コロンビアにしか勝てなかったという現実もある」
たしかに。
おおくのファンが、日本代表の躍進をたたえているけれど、
勝敗としては、1勝1分2敗である。
まけた2試合は、おしいところまでいったとはいえ、
じっさいには、さいごのところでかちきるちからは
日本にのこっていなかった。
90分をとおして試合をコントロールするちから。
ほしいときに、1点をとれるきりふだ。
いいところまでいった、つぎはベスト8だと、
うかれる気にはなれない。
さいごに、サッカーライターの宇都宮徹壱氏による、
日本代表の総括を紹介したい。
https://russia2018.yahoo.co.jp/column/detail/201807050001-spnavi/
というのも私には、今大 会でのラウンド16進出の快挙が、西野監督の手腕のみに帰する世論の空気に、どうにも言い尽くせぬ違和感を覚えていたからだ。おそらく、降って湧いたブー ムの中でW杯に関心を寄せていたライト層にとり、西野監督は「日本が世界に誇る名将」であり、ハリルホジッチ前監督については「解任されて激怒している、 エキセントリックな外国人」という印象しかないのではないか(もしかしたら前任者の名前さえ知らない可能性もある)。
よくぞ2カ月の準備期間でチームをまとめ上げ、コロンビアとの初戦に勝利したものだと思う。しかし一方で、「なぜ準備期間が2カ月しかな かったのか?」という、そもそもの問題を看過すべきではない。(中略)指揮官と選手に不必要な負荷を与えることになった、JFAの決断の遅れを「美談」で覆い隠すべきではない。
4年後のWカップにむけてスタートをきるにあたり、
こうした宇都宮氏の視点が、いまの日本には必要なのではないか。