2018年07月06日

夏休みの楽しみは、「夏休み待ち」にあると、ののちゃんにおしえられる

朝日新聞に連載中の「ののちゃん」(いしいひさいち)が、
イベントをまつ時間のすごし方についておしえてくれる。
きょうのはなしは、いろいろ応用がききそうだ。

ののちゃんが
「ナツヤッスミッ ナツヤッスミッ」とうかれている。
松子さんが、
「なにをうかれてるねん。夏休みまで2週間もある」
とたしなめると、
ののちゃんは「そこなのよ」と、
なぜうかれているかの説明をする。
「『夏休み』の楽しみは『夏休み待ち』」だという。
「あと2週間もある。ナツヤスミッ マチッ」と
ののちゃんは夏休みまでのまち時間がたのしそうだ。
あと2週間もあって残念、ではなく、
2週間もたのしめるからラッキー、というとらえ方を、
これまでわたしはしらなかった。

秋が季節のなかでいちばんすきで、
秋をまちのぞむわたしは、
そのまえにたちはだかる夏をにが手としている。
ののちゃんにならえば、
あと3ヶ月も秋まちの期間がある。
夏のあつさにくるしむいまこそ、
いちねんでいちばんいい時期なのだと
最悪から最高へと評価がいれかわる。

ただ、ののちゃんは、3ヶ月まえから
「夏休み待ち」にうかれていたのではない。
夏やすみがあと2週間後にせまったいまだから、
こころから夏やすみまでの時間をたのしめる。
どれくらいまえから「◯◯待ち」がスタートするのかは、
そのイベントがどれだけかがやいているかによる。
たとえば家族で外食にでかけるからといって、
2週間もまえからうかれるのは無理があるだろう。
ののちゃんにとっての夏やすみは、
2週間まえからうかれはじめるのがちょうどいい スペシャルな時期だ。

むかしから、たとえば旅行のたのしさは、
旅行自体よりも計画するとき、
みたいなことがいわれていた。
ただそれは、旅行の計画をたてたり、
ホテルの予約をいれたりするたのしさのことで、
旅行に関するじっさいの準備ともいえる。
ののちゃんは、そうではない。
なにもないのに、夏やすみがもうすぐはじまる事実が、
ただそれだけで ののちゃんをうかれさせる。
夏やすみ自体がすばらしいイベントなのはもちろんだけど、
そのまえの期間だって、無為にすごすのはもったいない。
ののちゃんのように、2週間まえからうかれれば、
すでに夏やすみを満喫しているようなものだ。
「夏休み待ち」にうかれても、
じっさいの夏やすみがぼやけるわけではないし、
余分な費用がかかるわけでもない。
適切な時期で「待ち」のたのしみをスタートさせるのは、
人生をじゅうじつさせるうえで、大切なテクニックかもしれない。

posted by カルピス at 22:08 | Comment(0) | いしいひさいち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする