2018年07月25日

かとうちあきさんの野宿こそ、究極にクール

「クールジャパン」で日本のアウトドアをとりあげていた。
ここでいうアウトドアとは、レジャーとしてのキャンプをさしている。
ほかのジャンルがそうであるように、
日本のアウトドア用品もまた、わらえるほど いたりつくせりだ。
キャンプにもっていく、おりたたみ式のイスとテーブル、
野点セット、虫がよりつかない服、
かんたんにくみたてられるテント、などなど。
キャンプずきの女子による、ガールズキャンプでは、
女子限定のキャンプサイトや、
手ぶらでいってもキャンプをたのしめるレンタル用品が、
こまかなところまで いきとどいていると紹介する。
キャンプずきの女子は、アウトドアむけの服をきるのではなく、
ワンピースやスカートでキャンプにでかけている。
おもい荷物は、宅配便でおくってしまい、
荷物にわずらわされることなくキャンプをたのしんでいる。
テントでねたり、食事をするほかに、
キャンプサイトをどうかざりつけるかが、
彼女たちの関心ごとだ。

外国人ゲストの大半は、それで本人たちがたのしいのなら、
なにも問題はない、とおとなの感想をのべていた。
ただ、自分がそんなキャンプをやりたいかというと
はなしはまたべつで、
なにもない自然のなかですごしてこそのキャンプだと、
ほとんどの外国人ゲストはかんじていた。
オーストラリア人のクレイグさんは、
毎週のようにキャンプをたのしむ 筋金いりのアウトドア派で、
番組では、そんなクレイグさんが
奥多摩ですごした自由な時間を紹介していた。
クレイグさんは、目的地をきめず、
おもいついたままにうごきまわり、
気にいった場所にハンモックをつるして寝場所とし、
食事はたき火台をつかってチキンカツをあげていた。

番組のいちばんさいごに、司会の鴻上さんが、
その日いちばんの「クール」をえらぶコーナーがあり、
鴻上さんはクレイグさんのキャンプをえらんでいた。
超ゴーカなキャンプ場や、
家での生活をそのままアウトドアにもちこむのではなく、
ひとりしずかに自然のなかですごすクレイグさんは、
アウトドアの達人にみえた。
番組ではクレイグさんにたいし、雨がふったらとか、
虫や動物はどうするのかと質問していた。
クレイグさんは、雨がふりそうなときはカバーを用意するらしい。
虫や動物は、そんな環境をたのしむためにキャンプをするのだから
まったく問題ないという。

クレイグさんのアウトドアはたしかにかっこよかったけど、
かとうちあきさんの野宿もまた、
究極のクールなアウトドアだとおもった。
目的は「野宿」そのもので、
荷物だって寝袋とマットだけと、ほとんど手ぶらだ。
自分がたべる分の食糧をもっていくだけで、
炭火をおこしたり、たき火もしない。
テントのなかを、どうかざりつけるかも、もちろんなし。
なにかおきたらどうしよう、と万全の準備でのぞむのではなく、
もってきた最小限の荷物で、なんとかやりすごすのが
かとうちあきさんのスタイルだ。

ただ、「クールジャパン」でかとうさんの野宿をとりあげても
なかなか理解されないようにおもう。
たしかに「クール」だけど、それだけでおわりそうだ。
マットと寝袋だけで完結するかとうさんの野宿は、
あまりにもシンプル、そして自由すぎて、つかみどころがない。
ラジカルなキャンプの一種、という位置づけが
番組としてはせいいっぱいなのではないか。
やってることはすごく地味なのに、
その精神はあくまでもひろく ふかい。
ほんとうは、かとうさんの野宿こそが、
きわめて日本らしいアウトドアなのだと、
番組をみていて よくわかった。
そして、世界へとつうじる可能性もまたひめている。
いたりつくせりのキャンプ用品や、ガールズキャンプよりも、
本質的にクールなのが かとうさんの野宿だ。

posted by カルピス at 21:21 | Comment(0) | かとうちあき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする