ブックオフで『村上ラヂオ3』と『夜のくもざる』をかう。
2冊とも村上春樹さんの本で、どちらもすでによんでるような、
まだのような、記憶があいまいだ。
とくに『村上ラヂオ3』は、これくらいのエッセイなら、
わざわざかうまでもないかと、図書館ですませたような気がする。
『村上ラヂオ』は、女性誌の「アンナン」に連載されており、
あたりさわりのない話題がおおい。
好感がもてるおじさんとして、女性の読者を獲得するのではないか。
むかしのエッセイは、かなりとんがった内容のときもあり、
それはそれでたのしめたけど、
『村上ラヂオ』がものたりない、というわけでもない。
『夜のくもざる』も、よんだような、
まだよんでないような、記憶があいまいだ。
この本は、奇書といってよく、
すごくおもしろいけど、そのおもしろさは
どうやってもひとにつたえられないたぐいのものだ。
とくに気にいったはなしを、
できれば要約して紹介したいけど、すぐにあきらめる。
まるごとぜんぶをよまないと、魅力がつたわらない。
ことばをさがしても、なぜおもしろいのかは、説明できない。
よんでみて、どんな感想をもつか、ためしてみるしかない。
いったい村上さんはどうやってこれらの「超短編」を
おもいついたのだろう。
この本をおもしろいとおもうか、
いったいなんでこんな役にたたない本をかいたのか、
と とまどうのかは、かなりふかいところで
村上作品へのこのみを決定づけるようにおもう。
たとえ村上さんのファンであっても、
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や
『ノルウェイの森』がすき、というだけでは、
同士として腹をわってはなせるかが まだわからない。
『夜のくもざる』がすきなひとだったら、まず大丈夫だ。
わたしのしるかぎり、村上さんはこのタイプの奇書を
これまでに3冊かいている。
・『夢で会いましょう』(1981年・糸井重里との共著)
・『夜のくもざる』(1995年・絵:安西水丸)
・『村上かるた うさぎおいしーフランス人』(2007年・絵:安西水丸)
4冊目となる不思議な本が出版されてもおかしくない時期となった。
長編大作をかくあいまの息ぬきとして、『夜のくもざる』のように、
まったくなんの役にもたたない本をかいてくれたらうれしい。