2018年09月06日

『ロング・トレイル!』

夕ごはんをたべながら、シネフィルで『ロング・トレイル!』をみる。
老人ふたりが森のなかをあるいている。
番組情報のボタンをおすと、
ふたりはどうやらレッドフォードとニック=ノルティらしい。
その気になってみると、わらい顔がすこしレッドフォードっぽくなる。
『愛と悲しみの果て』では、
サファリのガイドをしていたレッドフォードが、
30年後のこの作品では、あしもとのおぼつかないおじいちゃんになる。
歳をとるシビアさとは、こういう変化をうけいれることだ。
ニック=ノルティも、まさかこの老人が、
エディ=マーフィーと『48時間』をえんじた
タフでがんこな刑事とはしんじられない。
ウィキペディアをみると、2015年の作品なので、
レッドフォードが79歳、ニック=ノルティは79歳のときに
この『ロング・トレイル!』はつくられている。

とちゅうからみたので、ストーリーはよくわからない。
ふたりがアメリカのトレイルを何ヶ月もかけてあるいていた。
あとからネットをみると、アパラチアン=トレイルといって、
3500キロもあるトレイルコースらしい。
まさしく「ロング・トレイル」の名にふさわしい。
自然のうつくしさ、あるくたのしさがメインの作品ではなく、
あるきつづけることによって、
なにをふたりがなしとげようとしているかがテーマとなる。
せっかく国立公園のなかをあるきながら、
ふたりはどうでもよさそうなはなしをブツブツいいあっている。
テントでねたり、アウトドアらしい食事をしたりの場面もあるけど、
それよりも 印象にのこるのは、
人生のおわりをむかえようとしているふたりが
自分の内面をみつめ、生きかたを、なんとか整理しようとする姿だ。

このごろ20キロや30キロといった
ながい距離をあるくようになったわたしは、
ふたりのあるきっぷりに目がいく。
作品としてなにを表現しているかよりも、
わたしもこんなふうにあるきたい、とおもってみていた。
何ヶ月もあるいている(という設定)のわりには、
ふたりともさいごまでふとったままだ。
もうすこしやつれたり、ほっそりしてもよさそうなものなのに。
それにしても、ながいトレイルコースがあるアメリカがうらやましい。
日本には、登山を目的としたコースはたくさんあるけど、
アメリカみたいなトレイルがなくて残念だ、なんておもっていたら、
ネットをみると、日本にも、100キロをこえるコースがいくつもあった。
わざわざアメリカにまで、そして、フランスやスペインの
サンティアゴ巡礼にまで でかけなくても、
とりあえず、日本でも長距離トレイルが体験できる。

なぜながい距離をあるくのがたのしいのだろう。
あるくときに からだをうごかすスピートが、
脳みそにちょうどいい刺激なのではないか。
はしるより、自転車よりも、いまはながい距離をあるきたい。
いまからしっかりあるいておけば、
80歳にもしなっても、作品のなかのふたりより、
もうすこしましなあるきができるのではないか。

posted by カルピス at 21:56 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする