『ユージュアル・サスペクツ』
(ブライアン=シンガー:監督・1995年・アメリカ)
ラジオ番組の音楽遊覧船で、
紺野美沙子さんがとりあげていたのをきき、
ツタヤでかりてくる。
いりくんだストーリーで、いったいなんのはなしなのか、
とちゅうまでよくわからなかった。
わからなくても、ながれをおっているだけで
それなりにおもしろい。
以下、ネタバレあり。
いちばんあやしくないやつが犯人というのが
ミステリーではよくある手だ。
『ユージュアル・サスペクツ』では、作品にでてきた5人のうち、
おおきな仕事はやれそうにないのが
キント(ケヴィン=スペイシー)で、
わたしはずっとキントが犯人にきまっているとおもってみていた。
でもまさか、不自然なほど
犯人らしくない人物としてえがかれているキントが、
そのまま犯人なんて ありえないだろう。
さいごはどんなおどろきを味わせてくれるのか
たのしみにしていたら、
ほんとうにそのままキントが犯人だったので 拍子ぬけした。
わたしなんかが 簡単に犯人だとおもう人物を、
そのまま犯人にするなんて、あまりにもひねりがあまい。
紺野美沙子さんがこの作品をとりあげたのは、
「おどろきの結末」をテーマにした回で、
『スティング』『バタフライ・エフェクト』とともに名前があがった。
「おどろきの結末」というぐらいだから、
わたしなんかが犯人をあてるようでは よくない気がする。
まあ、わたしがあてたのは、
論理をくみたてたうえの推理ではなく、
ただたんに、「いちばんあやしくないやつが犯人」
の法則にのっとっただけなので、
あまりいばれる犯人さがしではない。
ケヴィン=スペイシーをはじめてみたのは、
『ペイ・フォワード』で先生役をしたときだ
(とおもったら、『ワーキング・ガール』に
さえない相手役としてでていた)。
少年に誠意をもってむきあうすてきな先生だった。
そのあと『セブン』をみると、いかれた犯人を
気もちわるくなるほどリアルにえんじたのが
つよく印象にのこった。
『ユージュアル・サスペクツ』でのケヴィン=スペイシーは、
意外性という意味でも、演技のたくみさにおいても、
さほどおどろかなかった。
この役で、ケヴィン=スペイシーは
アカデミー助演男優賞を手にしたそうで、
そっちのほうが よっぽど意外におもえる。