『夜廻り猫』のサイトをのぞくと、
更新された作品だけでなく、
まえにかかれた話もついよんでしまう。
わがままだったり(モネ)、調子よかったり(ワカル)、
どうしても遠慮してしまう性格だったり(ラミー)と、
いろんなネコがでてくる世界にすっかりなじんできた。
『夜廻り猫』をしってると、世界はずいぶんふかくてあたたかい。
人生におけるバイブルとなる作品だ。
「夜廻り」をしながら、遠藤さんはいろんなひとからはなしをきく。
ネコをたすけることもあるけど、たいていの場合、
遠藤さんがなみだのにおいをかぎとるのは人間のかなしみだ。
ときには、よろこびのなみだだったりもする。
遠藤さんは、こころがよわいひとでも、
けしてきりすてたりしない。
だめだった過去を後悔するひとには、
「おまいさんはがんばっている」と
そのひとぜんたいをうけとめる。
作者の深谷かほるさんは、どうやって遠藤さんのような
キャラクターをおもいついたのだろう。
「猫貧乏」ということばがでてきた。
気のどくなネコをだまってみすごせず、
何匹もひきとので、お金がたまらないひとのことだ。
「なんとかなる」といって、ネコとのくらしをやめられない。
貧乏かどうかはわからないけど、
わたしのまわりには、こまっているネコを
そのままにしておけないひとが何人もいる。
遠藤さんは、よわっているネコをみつけたとき、
このひとなら大丈夫、というしりあいにたよる。
わたしはまだ遠藤さんにたよられるほどの存在ではない。
わたしの家にいるココは、
まだ子ネコのせいか あそぶのに夢中だ。
家族の足に本気でたたかいをいどんだり、
けっこうなあばれんぼうだけど、
『夜廻り猫』をよんだあとでココとすごすと、
なにかふかいはなしをしてくれている気がする。
ココをだっこして、『夜廻り猫』のはなしをきかせながら、
わたしはココをなでる。