2018年10月22日

だんだんと食欲がおちるのは、ただしい老化であり、死への準備かも

椎名誠さんのエッセイをよんでいたら、
食事をつくるのがめんどう、というはなしがあった。
奥さんが長旅にでているので、自分がたべる分は
自分でなんとかしないといけない。
ソーメンやうどんくらいはゆでるものの、
自分ひとりのためにまともな食事を用意するのは
ひどくめんどくさいようだ。
かいものも苦手なのだという。

椎名さんといえば、「探検隊」もので野外料理をしたり、
ゆでたてのスパゲティにマヨネーズとショーユをぶっかける
「スパゲティ・アラ・マヨ」みたいな
即席料理を得意にしているイメージがある。
でもじっさいは、そうしたおおざっぱな料理もするけど、
基本的には、ひとがつくってくれたものを
うまいうまいとたべるほう専門のひとみたいだ。
酒はこれまでとかわらずのむものの、
歳をとってからは食欲がおち、
固形物をとるはどうでもよくなっているらしい。

はじめは、わたしは料理が苦でなくてよかった、とおもったけど、
料理がどうこうよりも、食への関心の問題かもしれない。
たべることがどうでもよくなり、気がつくと
いちにち固形物をたべない日もあるなんて、
それはそれでわるい現象ではなく、
死にむけての準備であり、ただしい老化におもえてきた。
固形物をたべないので、体重はおちていく。
ベスト体重が72キロのところを、65キロになったそうだ。
がまんしてるわけではなく、しぜんと食欲がおち、
それにともないやせていくのは、
生物として、からだはただしく死へむかっているではないか。
だんだんと意欲もおとろえ、世のなかのことがどうでもよくなり、
なにがあっても「まあいいか」とおもえるようになったら
死はこわいものではなく、くるべきおむかえがきた、
くらいのかんじなのではないか。

べつに椎名さんが、死の準備をしている、
というつもりはないけど、だんだんと食欲がおちるのは、
いかにも自然に死をむかえるようで、わるくない。
椎名さんはいま74歳のはずで、わたしもそれくらいの年齢になれば、
いつのまにか たべることなどどうでもよくなり、
だんだんと、かれた境地にたっするのだろう。
ジタバタとアンチエイジングなんてするから、
からだが拒否反応をしめして病気になるのかも。
老化により、自然と食事の量がへってゆけば、
中性脂肪やコレステロールなんて関係なくなる。
死にむけたながれに身をまかせ、ゆったりすごせたら、
おだやかなさいごをすごせるのではないか。

posted by カルピス at 21:29 | Comment(0) | 椎名誠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする