(高橋三千綱・岩波書店)
高橋三千綱さんは、わたしが大学にはいったころ、
集中的によんだ作家だ。
なにをよんだのかはもうわすれた。
わかいころのわたしがもとめていた文章だったのだろう。
本書について、新聞の広告でしったときに、記事をかいた。
http://parupisupipi.seesaa.net/article/460549255.html?1541765675
じっさいによんでみると、期待をうらぎらない興味ぶかい内容だった。
高橋さんは、食道ガンがみつかり、食道ガンの手術のまえに、
食道にできている静脈瘤をきりとる必要があった。
ようやく食道ガンの手術をおえたかとおもうと、
こんどは肝硬変をいいわたされ、さらには胃ガンがみつかって、
ほっておけばたいへんなことになると医者におどかされる。
そんな高橋さんが、胃ガンを宣告されても医者のおどしにくっせず、
自分がいいとおもったやり方ですごしたら、症状がよくなったという。
高橋さんは、ストレスのない生活こそが大切とかんがえており、
そうした対応を「ほったらかし療法」と名づけた。
「ほったらかし療法」は究極の楽天的療法である。愉快に生きる秘訣である。そのやり方は、ただボーッとしているのではない。あえていえば、私があみ出し、個人の秘術として愛用しているものである。ただし他人が聞けば巧言としてしかとらえられないものでもある。そういうわけで、ここから先は袋とじの「秘伝」である。
というわけで、このさきを紹介するわけにいかないけど、
理屈としては、愉快に生きることで免疫力をたかめる方法だ。
高橋さんは、4年半の禁酒でも検査の数値がよくならなかったのに、
酒をまたのみはじめると、血糖値や肝障害の数値がおちつき、
2つみつかっていた胃ガンもなくなっている。
余命4ヶ月、といわれていたのが、
その後5年いきつづけ、70歳の誕生日をむかえている。
高橋さんは、病気や薬についての知識がふかく、
そんなにしっているのなら、もっとはやくから
からだに気をくばればいいのに、とおもってしまう。
楽天的と、高橋さんは自分のことをかいている。
楽天的だからこそ、医者がなんだかんだいっても、
おじけずいたりせずに、ほったらかせるのだろう。
わたしは、職場の健康診断をうけず、
いちねんにいちどの血液検査で健康チェックをすませている。
胃カメラをのんで、胃ガンがわかってもこまるし、
レントゲンで肺に影がある、といわれるのもいやだから。
血液検査でも、いろいろよくない数値を指摘され、
くらい気もちになるのに、
もしふつうの健康診断をうけたら、
楽天的でないわたしは 心配しすぎてストレスになりそうだ。
もしどこかにガンができても、それが寿命とうけとめ、
手術はしないときめている。
団塊の世代が高齢化をむかえているせいか、
健康に関する情報をよく目にするようになった。
血圧やコレステロール、血糖値など、
おどかされると、心配はつきないけど、
高橋さんの「ほったらかし療法」をとりいれて、
できるだけ病院にはかかわらないですごしたい。
どんなさいごをむかえるかは だれにもわからない。
リスクをうけいれたうえで、楽天的にくらすささえとして、
おおくのひとに本書をよんでほしい。