2018年11月09日

『作家がガンになって試みたこと』(高橋三千綱)

『作家がガンになって試みたこと』
(高橋三千綱・岩波書店)

高橋三千綱さんは、わたしが大学にはいったころ、
集中的によんだ作家だ。
なにをよんだのかはもうわすれた。
わかいころのわたしがもとめていた文章だったのだろう。
本書について、新聞の広告でしったときに、記事をかいた。
http://parupisupipi.seesaa.net/article/460549255.html?1541765675
じっさいによんでみると、期待をうらぎらない興味ぶかい内容だった。

高橋さんは、食道ガンがみつかり、食道ガンの手術のまえに、
食道にできている静脈瘤をきりとる必要があった。
ようやく食道ガンの手術をおえたかとおもうと、
こんどは肝硬変をいいわたされ、さらには胃ガンがみつかって、
ほっておけばたいへんなことになると医者におどかされる。
そんな高橋さんが、胃ガンを宣告されても医者のおどしにくっせず、
自分がいいとおもったやり方ですごしたら、症状がよくなったという。
高橋さんは、ストレスのない生活こそが大切とかんがえており、
そうした対応を「ほったらかし療法」と名づけた。
「ほったらかし療法」は究極の楽天的療法である。愉快に生きる秘訣である。そのやり方は、ただボーッとしているのではない。あえていえば、私があみ出し、個人の秘術として愛用しているものである。ただし他人が聞けば巧言としてしかとらえられないものでもある。そういうわけで、ここから先は袋とじの「秘伝」である。

というわけで、このさきを紹介するわけにいかないけど、
理屈としては、愉快に生きることで免疫力をたかめる方法だ。
高橋さんは、4年半の禁酒でも検査の数値がよくならなかったのに、
酒をまたのみはじめると、血糖値や肝障害の数値がおちつき、
2つみつかっていた胃ガンもなくなっている。
余命4ヶ月、といわれていたのが、
その後5年いきつづけ、70歳の誕生日をむかえている。

高橋さんは、病気や薬についての知識がふかく、
そんなにしっているのなら、もっとはやくから
からだに気をくばればいいのに、とおもってしまう。
楽天的と、高橋さんは自分のことをかいている。
楽天的だからこそ、医者がなんだかんだいっても、
おじけずいたりせずに、ほったらかせるのだろう。

わたしは、職場の健康診断をうけず、
いちねんにいちどの血液検査で健康チェックをすませている。
胃カメラをのんで、胃ガンがわかってもこまるし、
レントゲンで肺に影がある、といわれるのもいやだから。
血液検査でも、いろいろよくない数値を指摘され、
くらい気もちになるのに、
もしふつうの健康診断をうけたら、
楽天的でないわたしは 心配しすぎてストレスになりそうだ。
もしどこかにガンができても、それが寿命とうけとめ、
手術はしないときめている。

団塊の世代が高齢化をむかえているせいか、
健康に関する情報をよく目にするようになった。
血圧やコレステロール、血糖値など、
おどかされると、心配はつきないけど、
高橋さんの「ほったらかし療法」をとりいれて、
できるだけ病院にはかかわらないですごしたい。
どんなさいごをむかえるかは だれにもわからない。
リスクをうけいれたうえで、楽天的にくらすささえとして、
おおくのひとに本書をよんでほしい。

posted by カルピス at 21:11 | Comment(2) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする