わたしがつとめる職場では、
ボジョレー=ヌーボーの解禁日である11月の第3木曜日、
お世話になっている方々へ、
ボジョレーをとどけるのが恒例行事となっている。
はじめは配達するだけだったのが、だんだん複雑になり、
いまでは職員が仮装してのイベントになってしまった。
ハロウィンにちかい日付のせいか、
ハロウィンみたいにはでな仮装がおおいなか、
わたしはデイリーポータルZの
「地味な仮装」路線をとりいれている。
https://dailyportalz.jp/kiji/jimi-halloween-2018
地味な仮装とは、ハロウィン的な はでさがなくて、
たとえば中学校のときの理科の先生、とか
仕事ちゅうの水道工事屋さん、など、
現実にいるひとになりきるたのしさを
仮装することで味わう。
説明をつけないと、みただけではわからない仮装でもかまわない。
ただ仮装するだけでは場がもたないので、
仮装にボジョレーをからめたストーリーがほしいところだ。
とはいえ、地味な仮装とボジョレーは、
そうかんたんにはなじまない。
まいとし、いったいどんな仮装をするのか、
かなりのプレッシャーのもと、なやむ日がつづく。
1年目はクロネコヤマトの宅急便、
2年目は、回覧板をまわしにきた近所のおじさんでのりきった。
ことしペアをくむ職員は、看護師さん(女性)なので、
お医者さんとケガ人という役割分担でいこうと
はじめはおもっていた。
でも、どうしても適切なストーリーをおもいつかない。
けっきょくお医者さんの仮装はあきらめて、
国会議員への立候補者と その秘書、という場面をおもいついた。
相方が立候補者で、わたしが秘書役にまわる。
これなら立候補のごあいさつに利用者宅をおとずれて、
ボジョレーをわたすながれに無理がない。
現実にある政党名をあげると ナマナマしすぎるので、
すべてのネコをしあわせにする
「ねこ第一党」をなのり、マニヘストをくばる。
内容は、かとうちあきさんの「野宿党」をパクリ、
・よくねます
・ダラダラします
・がんばりません
とする。
100均でタスキや白手袋などの「7つ道具」をそろえた。
ペナになる女性にわたしの案をつたえると、
了承してもらえたものの、
タスキに自分の名前をかくのははずかしいからと、
「磯野たま」(サザエさんにでてくるネコ)にしたいとか、
しっぽをつけてかわいく、みたいな案をだしてきた。
これではハロウィン的な仮装になってしまうので、
もういちど地味仮装のコンセプトを説明する。
もとめるのは究極のリアリティだ。
こういうとき、ふざけたり、はずかしがったりすると、
かえって おもしろくなくなってしまう。
ふたりとも役になりきり、
国会へぜひおくりだしてほしいと、
こころをこめておねがいする。
あそぶのは、いかにほんものらしくみせるか、の部分であり、
仮装ではふざけない。
あくまでも、どこかにいそうな立候補者と秘書をえんじる。
すごくいいアイデアだとおもったけど、
だれにもうけいれられる仮装ではない。
冗談にとってくれず、「?」な対応をされるおそれもある。
わたしたちは、役になりきれるだろうか。
冗談を、うけいれてもらえるだろうか。
あすの本番が まちどおしくなってきた。