(ジョン=カラン:監督・2014年・オーストラリア)
わかい女性が、愛犬をつれ、オーストラリアの砂漠を、
ラクダ4頭とともに 2000マイルの旅にでる。
オーストラリアの中央部にあるアリススプリングスから
インド洋をめざす、とあるけど、インド洋といってもひろい。
いったいどのコースをあるいたのか、地図をみてみると、
オーストラリアのまんなかから、
西へむかってインド洋にたどりついていた。
なぜそんなむちゃな旅をするかの説明はとくにない。
ラクダといっしょにあるく旅を、ただやりたいからと、
ロビンはラクダとのせっし方をおぼえ、
お金もないまま、旅をスタートさせる。
だれにはなしても、無謀すぎるといわれる旅へ、
彼女はでかけないではいられない。
過酷な旅になるでしょう。
自分にはおそれおおい挑戦だとわかっています。
でもそれが目的です。
平凡な人間でも、なんだってできるはず。
お母さんの自殺など、おさないころの家庭環境が、
彼女をこの旅へとかきたてるひとつの理由みたいだ。
過去とおりあいをつけるために、
彼女は自分に試練をあたえずにはおれない。
ロビン役のミア=ワシコウスカがぴったりはまっていて、
いつも不機嫌そうな表情で、愛想はないけど、
ふかいところで動物やひとにこころをひらいている。
ラクダとのつきあい方をおしえてくれた老人や、
旅のとちゅうで であうアボリジニーの長老は、
ロビンのみたむきさにひかれ、協力をおしまない。
砂漠のなかにくらしている老夫婦など、
いったいこんな不毛な土地で なにをしているのかと
不思議におもえるひとたちとのであいが印象的だ。
そういうひとたちは、旅の目的などたずねずに、
ロビンをまるごとうけいれて、
食事やねる場所を提供する。
過酷な状況で生きるものだけが身につける、
やさしさにあふれたものごしがすてきだ。
おおくのくるしみがつぎつぎと彼女をまちうける。
旅のとちゅうで、水や食料がつきかけたときもあったし、
かけがえのない愛犬(ディギティ)をうしなった
(毒をのみ、くるしんでいる犬をロビンみずから銃でうちころす)。
ロビンはあまりにもふかいかなしみに、自分をみうしないかける。
ディギティへのおもいをかかえたまま、ロビンはどうにか旅をつづけ、
ボロボロになってインド洋をのぞむ海岸にたどりつく。
おおくの命を犠牲にして、彼女の旅はおわりをむかえる。
なぜロビンはこの旅にでなければならなかったのか わからない。
旅をしなければ、旅によりくるしみを味あわなければ、
彼女は これまでいきてきた自分をゆるせなかった。
砂漠はときとしてうつくしい表情をみせる。
砂漠をあるきつづける旅が、ロビンを浄化させたようにみえる。