同居している88歳の母が、腰のいたみをうったえてきた。
ヒビがはいってるような気がする、という。
もともと骨粗鬆症を診断されており、
カルシウムの錠剤をのんだり、
ヨーグルトや牛乳をたべたりしていた。
年をとると、カルシウムの吸収がわるくなるそうで、
いくらとりいれても、それにみあうほど
骨が丈夫になるわけではないようだ。
わたしが半年まえに足をいためたとき、
お世話になった病院へ 母をつれていく。
母が自分でみたてたとおり、
骨にヒビがはいっているのだという。
くわしい診断は、もっとおおきな病院で、といわれ、
いたみどめの薬が処方される。
ひとまずこれでしのげたか、と安心していたら、
だされた薬が母にはつよすぎた。
いたみはきえないし、食欲がなくなるしで、
ほんとの病人のようになってしまった。
あるくのもつらそうで、壁に手をついて、
やすみやすみでないとうごけない。
いっきょに母の介護が リアルな現実になってきた。
このままうごけなければ、入院するしかないし、
もしかしたら、そのままねたきりになるかもしれない。
病院での入院だと、ながくみてもらえないので、
そのあとは、介護施設をさがすことになるだろうか。
親の介護をきっかけに、こどもたちが
仕事をやめるはなしをよく耳にするけど、
こんなにはやく、わたしもそのなかまにはいるとは。
仕事にみれんはまったくないけど、
かといって、親の介護のために仕事をやめると、
不満がたまり、母親にむけてひどい対応をしそうだ。
老後にむけた準備だって、じゅうぶんにできてないので
(いま話題になっている2000万円なんて、問題外だ)、
わたしの老後全体が危機をむかえかねない。
さいわい、母がきょう もういちど病院へいくと、
電気をあてる治療をうけ、座薬もだされ、
だいぶらくになったという。
夕ごはんをいつもの半分くらいたべられたし、
お風呂にもひとりではいれた。
なんとか最悪のシナリオはとおざかったようだ。
ただ、いたみがおさえられといっても、
骨のヒビがなおったわけではないので、
これからだんだんと、状況はわるくなっていくだろう。
母がひとりでうごけなくなったとき、
家でどれだけみられるか。
わたしの 気らくな生活は、かなりの部分、
母の状態しだいというのがわかってきた。
88歳まで生きたのだから、
もうじゅんぶんでしょ、ともおもうけど、
だからといって、治療や介護をうけないわけにはいかない。
こんなふうに、だれもがズルズルと
親の介護にひきこまれていくのかと感心した。
予行練習ではなく、これは実質的な介護のスタートと、
自覚したほうがいいのかもしれない。