『ゴジラ キング オブ モンスターズ』
(マイケル=ドハティ:監督・2019年・アメリカ)
もちろん、いまさらゴジラをみるつもりなんてなかった。
ましてやハリウッド版なんて、ろくでもない作品にきまっている。
でも、なんとなく予告編をみたら、
迫力にすっかりやられてしまった。
ここまでやってくれるなら、おもしろいかも。
映画をみても、ストーリーは、よくわからなかった。
ゴジラをおこらせるとこわい、という映画だったとおもう。
じっさい、さいごの場面で
キングギドラにむかっていったときのゴジラは、
全身いかりでふるえていて、
スクリーンをみてるだけでもこわかった。
ゴジラをおこらせてはならない、がこの作品の教訓だ。
花火大会では、さいごの10分ぐらいに山場をもってきて、
これでもかとハデに花火をうちあげるけど、
ゴジラのたたかいも、ちょうどそんな ながれになっている。
さいごの10分は、あきれるほどの出血大サービスで、
それまでは、かなりひくめにおさえられている。
じっさいに映画をみてみると、
これまでのシリーズになじみがないものには、
ストーリーにすんなりはいれない。
なにやらパソコンみたいな機械をひらいて、
怪獣たちに信号をおくるというけど、
いったいなんのことだろう。
アメリカ政府にアメリカ軍、それに、
巨大生物を研究している秘密機関「モナーク」と、
いくつもの組織がごちゃごちゃになっており、
指示体型が理解できない。
だれがいちばんの責任者なんだ?
渡辺謙さんも出演しているけど、
モナークのなかでの立場がわからない。
かなりえらいひとみたいだけど、
あそこで謙さんはなんの仕事をしていたの?
さいごのほうで、爆弾をしかけにいく役を謙さんがかってでたとき、
このために謙さんは出演してたんだ、とようやく納得した。
特攻隊には日本人がにあってる、という
ハリウッドらしいステレオタイプな発想だ。
モスラはどうも、「いいもの」らしい。
ラドンにモスラがおそわれ、もうだめだ!というとき、
きゅうにラドンのうごきがとまる。
なんと、モスラのするどいツメが(ほんとうか?)
ラドンのからだをひきさいていた。
ヤクザ映画で、もみあっているとき、
あいくちがあいてのからだをつらぬき、
きゅうにうごきをとめたのち、くずれおちるのをおもいだした。
ゴジラの映画をつくるぐらいだから、日本映画をリスペクトしてくれ、
ヤクザのきりこみを参考にしてくれたのだろう。
リスペクトといえば、伊福部昭さんの作曲した「ゴジラ」が
エンディングでながれてきた。
すこしまえの「キラクラ」で、
遠藤真理さんが「SF交響ファンタジー第1番」をかけてくれ、
いまさらながらこの曲の魅力にうたれた。
真理さんは、ご自身も演奏にくわわったことがあるという。
「いまゴジラがあるいている!」
「いまゴジラが火をふいた!」
と、リアルにかんじられて、
会場がたいへんなもりあがりをみせたそうだ。
あらためてきいてみると、ほんとうに名曲であり、
この曲によって ゴジラの作品世界ができあがった。
あまりにもにぎやかな作品だったため、
みおわったあとも感想がまとまらない。
ゴジラすげー!
ゴジラつよい!
という映画だったのだろう。