『なんでわざわざ中年体育』で
かきわすれていたことがあった。
角田さんは、練習がすきでないばかりでなく、
レース本番でもときめかないひとだ。
いやだいやだとかきながら、
初心者のレベルをこえた体験をつんでいるけど、
基本的に練習や本番がすきでないという点で、
わたしとよくにている。
よく、レースになるとアドレナリンがかけめぐって、
なんていうけど、
わたしはつねに冷静、というか、
もりあがらないまま スタートの合図をまっている。
どちらかというと、やだな〜という気分にちかい。
頭では、レースにでられるしあわせ、とか、
この場にたてたことをありがたくおもう、とか
もっともらしいフレーズをつぶやくけど、
エントリーしたのだから、しかたなく、
という超ネガティブな参加だ。
ここまでは角田さんとにてるけど、
ベスト記録を更新したときに角田さんがおもったのは、
今度はこのタイムと戦い続けねばならぬのか、という、またしてもネガティブなことである。
「今度はこのタイムと戦い続けねばならぬのか」
というぐらいだから、さらにタイムをちぢめようと
「戦う」つもりがある。
気もちはネガティブかもしれないけど、
さらにうえをめざすのがしんどい、といっているのであり、
記録の更新をあきらめてはいない。
わたしの場合は、4時間51分から、13分ちぢめて
4時間38分ではしった。
練習とおなじ1キロ6分30秒のペースで
42キロをはしりとおしたことになる。
エイドでは、足をとめて水やエネルギーを補給したので、
はしるスピードは1キロ6分そこそこだったはずだ。
あきらかにできすぎで、そんなタイムを、
わたしはもう 2どとだせる気がしない。
ものすごく くるしい練習をつめば、
もしかしたら すこしはちぢまるかもしれないけど、
もうそんなガッツはのこされていない。
角田さんとちがい、「戦う」つもりがない。
2年まえのレースをおえてから、
フルマラソンをはしる気にならないのは、
もともとはしるのがすきではないことにくわえ、
記録をちぢめるのが無理だとあきらめているからだ。
角田さんは、ベスト記録をだしたあとも、
いくつものレースに参加して、いいときも、わるいときも
なんだかんだとたのしんでいる。
レースは記録だけをめざすものではない。
ネガティブといいながらも、
角田さんはじょうずにマラソンとつきあっている。
レースはくるしいのがあたりまえで、
参加しない理由はいくらでもあげられる。
「参加しない」という選択は角田さんのなかになく、
ネガティブでも とにかくレースにでつづけているのがすばらしい。