朝おきると、ベッドのしたにみなれない葉っぱがおちている。
いっしょにくらしているネコのココが、
おみやげとして とどけてくれたのだろう。
ネコはよくネズミやトカゲを「おもちかえり」してくれる。
一説によると、自分で獲物をとることができない人間に、
たべものをわけてくれているのだという。
目をさましたとき、部屋にぐったりとなったトカゲがいたら、
けっこう「ゲゲッ!」とのけぞるけど、
そこは気をとりなおし、ネコの好意をうけとめて、
しっかりお礼をいわなければならないプレゼントだ。
木の葉はいいかんじにかわき、ぽってりとボリュームがあり、
それでいて紅葉のうつくしさをたもっている。
つまりは、秋らしい パーフェクトなプレゼントだった。
ココはこれまでに、バッタはとってきてくれたけど、
木の葉のおもちかえりは はじめてだ。
きびしい夏がおわり、朝・夕がすずしくなったきょうこのごろ、
秋のおとずれをおしえてくれるすてきなプレゼントとなった。
ココもなかなかやる。
しばらくのち、ココがこんどはせんたくバサミを
ベッドのよこにのこしていた。
そのつぎは、5センチぐらいのみじかい木の枝。
木の葉のときは、気のきいたプレゼントだとよろこんでいたのに、
こうなってくると、ココがいったいなにをかんがえて
これらの品をわたしによこすのかわからなくなってきた。
春までは、ココが家のそとにでないよう、
厳重に戸をしめていたけど、
夏にはいってからは、ココが網戸をやぶり、
かんたんにではいりするようになってしまった。
まだそとでの活動に じゅうぶんなれていないココは、
目につくものならなんでもプレゼントにしてしまうのかもしれない。
あるいは、カラスが人間にとってはガラクタにうつる
缶やガラスなどを宝物としてだいじにするように、
せんたくバサミや木の枝は、ココにとっての宝物かもしれない。
ココの真意をはかりかねながら、なんだかんだいいながらも、
プレゼントをよろこんでうけとっている。
ココがすることは、なんでもかわいくてすてきだから。