盲ランナーの伴走として 一畑薬師マラソンに参加する。
距離は10キロとみじかいけど、
さいごに1138段の階段があるのが特徴のコースだ。
お寺へとつづく階段なので、不規則な石畳がくまれている。
5キロ・10キロのコースをあわせ、1300人が出場すると
開会式のときはなしがあった。
わたしがいっしょにはしったのは、
盲とろう、両方の障害をもつ57歳の男性で、
一畑薬師マラソンに参加するのは、これがはじめてだ。
これまでに、わたしは3回ほどいっしょに練習している。
そのときには、かなりゆっくりなはしりだったので、
9キロプラス、1138の階段というコースを、
さいごまではしれるだろうかと すこし心配していた。
階段はあぶないから、伴走が2人必要という規則で、
わたしと、もうひとり男性のボランティアがいっしょにはしる。
そのひとは、ウルトラマラソンやトライアスロンに、
なんども参加したことのあるベテランで、
わたしとしてもこころづよかった。
10キロのコースなので、5キロずつ伴走をうけもつ。
スタートしてからの5キロは、わたしがはしった。
このレースは、階段にさしかかる
9キロ地点にチェックポイントがあり、
1時間15分をこえたら、係員の支持をあおいでくださいと、
あらかじめ説明がある。
年齢やコースべつに、いくつかのグループにわかれてスタートする。
スタート直後に2キロほどのくだり坂があり、距離をかせげた。
そのあとも順調に足がまえにでて、5キロを35分ではしる。
5キロ地点に給水所があり、水をのみ、伴走を交代する。
制限時間は問題なくクリアーできそうだ、と安心していたら、
後半ペースがおちてしまい、いかにもくるしそうな足どりとなる。
10キロをはしるのは、これがはじめてのせいか、
距離へのこころがまえができていなかったようすだ。
うしなわれたペースはもとにもどらず、
あるくよりすこしはやいくらいのスピードとなる。
くるしさに、いまにも足がとまりそうだ。
伴走者がつねにはげましの声をかけ、
あきらめかけているランナーをもりたてる。
わたしたちのうしろに、大会運営の車と、
パトカーが2台、ゆっくりはしりながらついてくる。
それでもなんとかチェックポイントをクリアーする。
1時間15分の制限時間を1時間10分。かなりあぶなかった。
階段は、盲のランナーにとってあぶないし、
そもそもはしるげんきがもうのこされていなかったので、
1138の階段をあるいてのぼる。
最後に階段があるのは たしかにくるしいけど、
あるけばまあ、なんとかなる。
不規則にならぶ石段は、目がみえないランナーにとって、
かなりの難関だとおもうけど、われわれがあるくのと
あまりかわらないスピードでのぼっていく。
けっきょくタイムは1時間31分。
いちばんさいごのランナーとしてゴールする。
とにかく完走できたし(さいごはあるいたわけだけど)、
トラブルもなかった。
足がいたいといいながらも、
やりきった感に、ランナーはうれしそうだ。
はじめての伴走をなんとか無事におえ、わたしもホッとした。
シャトルバスにのりこみ、すこしはなれた駐車場までおくってもらう。