2019年11月02日

「悩みのるつぼ」に登場したエスペラント語がなつかしかった

朝日新聞の土曜日版「be」に、「悩みのるつぼ」という欄があり、
毎週いろいろななやみがよせられる。
今週は、20代の女性が、職場での
「エスペラントハラスメント」をうったえている。
男性の元上司(いまもおなじ職場)が、
エスペラントの「布教」に熱心で、
しつこく自分にすすめてくるのでこまる、という内容だ。
エスペラント語は、国際共通語として、
1887年にポーランド人のザメンホフがつくりだしている。
https://www.jei.or.jp/3pundesiru/
いまは英語が世界共通語のようにおもわれているけど、
これでは英語以外をはなすひとたちにとって不公平となる。
エスペラント語が世界じゅうにひろまれば、
英語など、特定のことばをはなすひとだけがとくをしない。
ことばから世界平等をめざす、とても理想主義的なとりくみといえる。

女性がストレスにかんじるくらい、
エスペラントの勉強にしつこくさそうのだから、
布教というより、わかい女性となかよくしたい、
スケべで無神経なおやじにおもえる。
とはいえ、人工言語であるエスペラント語を、
いまもまだ勉強しつづけているひとがいるのにおどろいた。
しかも、そんな非常識ともいえる熱心さで。
英語やフランス語の勉強に、しつこくさそうひとはいないから、
エスペラントのめざす世界平和への夢が、
そうした布教活動にかりたてるのかもしれない。

わたしが30代前半だったころ、梅棹忠夫さんの影響で、
エスペラント語をすこし勉強したことがある。
エキスプレスという初心者むけシリーズのテキストをかい、
いちおう、さいごの課までつづけた。
地元にある大本教の支部にも連絡してみたけど
(大本教は、エスペラント語に熱心だというので)、
その当時は、あまり活発に活動されていないようで、
勉強の手がかりとはならなかった。

英語やフランス語を勉強する場合、
動詞の変化をおぼえるのがやっかいだけど、
エスペラント語には、いっさい例外がなく、
たとえば現在形はかならず語尾が「as」となり、
過去形では「is」がくる。
この、例外がない、というのが、エスペラント語では徹底されており、
それがどれくらい学習者をらくにするか はかりしれない。
それに、英語やフランス語を勉強するときは、
どうしても こころのどこかかたすみに、屈折した感情がわいてくる。
言語帝国主義に加担するようで、すんなりした気もちでとりくめない。

すぐれた理想をかかげたエスペラント語を、
熱心に布教するひとが現実にいて、
それが新聞の相談コーナーにのるなんて、
すこしだけでもエスペラント語をかじったわたしには、
なつかしさをかんじてしまった。
エスペラントの精神と、あいての気もちをかんがえない
しつこい布教は ほんらい あいいれない。
相談をよんだ読者が、エスペラント語について、
わるい印象をもたなければいいけど。
もしエスペラント語が世界じゅうにひろまれば、
英語を勉強する必要なんてなくなる、
すばらしい世界がまっているのに。

posted by カルピス at 17:37 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする