そのまえの年は、2月から3月にかけて
フィリピンのセブ島へいった。
年末年始は、たとえタイでもうごきにくいので、
つぎの旅行はすこし時期をずらし、
成人の日をからめた9日間をばくぜんとかんがえていた。
だけど、なんとなく気もちがうごかない。
タイへいきたくない、というわけではないけど、
みじかい旅行をくりかえすのに、
新鮮な気もちをたもてなくなった。
どうせタイをまわるなら、もうすこし日数をかけ、
やりたいこと、いきたいところをおさえたい。
タイへの旅行をきめかねていたとき、
なんとなく沖縄ゆきをおもいついた。
タイへくりかえしでかけながら、日本人として、
まだ沖縄にいったことがないのはいかがなものか。
『宝島』(真藤順丈)・『居るのはつらいよ』(東畑開人)と、
沖縄が舞台の本をことしになってよんだせいもあるし、
記録映画『標的の村』にでてきたヤンバルの森もみてみたい。
とはいえ、沖縄となると、
ひとりでいくよりも、ふたりのほうがずっとまわりやすい。
3泊4日のツアーに、1人ではもうしこみにくいし、
個人旅行をするにしても、レンタカーが便利だときいている。
ひとりでレンタカーをかりるよりも、
ここはだれかツレがほしいところだ。
てっとりばやいツレとして、配偶者にたずねると、
意外にも「いける」、という。
沖縄ゆきが、これで決定的となった。
HISのサイトをひらいて沖縄ゆきをもうしこもうとすると、
ホテルをきめるのには、おおまかなコースを設定したほうがいい。
本屋さんでガイドブックをかってきて、ざっと情報をしいれる。
おもっていたより沖縄はちいさくて、
半日あれば、那覇からはじっこまでいけそうだ。
ウィキペディアをみると、
島根の1/3の面積(6708km2/2280km2)に
2倍以上のひとがすんでいる(67万人/145万人)。
ツアーをもうしこもうとすると、
全体の計画やら、出発の時間など、
こまかなことをいろいろきめなくてはならない。
旅行とは、めんどくさいものだという
宮田珠己さんのことばをおもいだす。
旅立つときはいつもそうだが、もう全面的に面倒くさい。毎回、もっと気力充実してから出発したいと思うけれども、そうやって待っていても気力はとくに充実しないのであって、まだそのときじゃないのかな、と思ったときが実は潮時である。
(中略)それよりとにかく何でもいいから出発してしまって、それから決心を固めていくほうが早い。
(『スットコランド日記』・幻冬社)
「なんのために、なんて考えていると、旅はいつまでたっても始まらない。意味を考える前に計画を立て、結論が出る前に出発してしまう。これが大切である。
(『だいたい四国八十八カ所』・本の雑誌社)
でもまあ、とにかく予約をすませた。
はじめての沖縄旅行。
よくかんがえずに 沖縄へいく、ときめてから、
わりとすんなり日程と とまる場所までえらべた。
いったことがないのだから、いろいろかんがえてもしかたない。
宮田さんがいうように、とにかくでかけることが大切となる。
それに、外国へいくよりも、国内旅行は圧倒的に気がらくだ。
パスポートの準備とか、保険をかけたりも必要ない。
服だって、沖縄といえども島根とおなじ冬服で大丈夫だろう。
配偶者とふたりでの旅行は、25年まえの新婚旅行以来だ。
老後にふたりでどんなおでかけができるかをうらなう、
あんがい重要なテストとなるかもしれない。
いまさら決定的になかがわるくはならないとおもうけど、
できればつづきがやりたくなるような旅行にしたい。