2019年11月20日

高野秀行さんに背中をおされ、SF古典がよみたくなった

『本の雑誌』11月号から、高野秀行さんの連載がはじまっている。
タイトルは、「SF音痴が行くSF古典宇宙の旅」。
SFはにがて、とおもいこみ、
これまでさけてきた高野さんが
『三体』をきっかけとして、SFへの意識がかわった。
 どうやら私は今までSFに対して何かネガティブな固定観念に縛られていたらしい。「難解」「過度に科学哲学的」「ひとりよがり」「メカ好きのオタクやマニアの読み物」というような。

高野さんは、SFがすごくおもしろい世界だと気づき、
「今こそ最後の秘境、SF古典宇宙の旅へ漕ぎだそう!」
とSFの古典をよみすすめていく。
1回目の11月号では『星を継ぐもの』(ホーガン)、
2回目の12月号では『夏への扉』(ハインライン)と
『幼年期の終わり』(クラーク)がとりあげられている。

わたしもSFがにがてで、古典といわれる上記の作品を
ひとつもよんでいない。
なんとなくSFを敬遠してきた高野さんの気もちがよくわかる。
よめばそれなりにたのしめる本がおおいけど、
よみだすまでのしきいが やたらとたかい。
理科や物理がさっぱり理解できなかったトラウマかもしれない。
例外は、フレドリック=ブラウンのSFで、
ブラウンは、ミステリーとSFの両方をかく作家だったため、
ブラウンのかいた本をすべておさえたかったわたしは、
ミステリーだけでなく、SFの本にも手をだした。
SFにもいろんなジャンルがありそうで、
ハードなSFだとわたしにはついていけなくても、
ブラウンのSFは わかりやすく、わたしでもたのしめた。

こんかいの企画で、高野さんがタイトルをあげて紹介するSFは、
どれもきいたことがあり、評判をしりながらよんでこなかった。
いつかはよもうと、古本屋さんでみかけたときにかい、
本棚にならべている本もある。
よみたい気もちがありつつ、なんとなく敬遠してしまう
わたしのようなSF初心者には、
高野さんの連載のように、背中をおしてくれるひとことが必要だ。
(『夏への扉』を)読んでみた感想は、「これ、ビートルズじゃん!」。ビートルズはロックだが、いまやロックが全然好きでない人もふつうに聴いて楽しんでいる。世の中にはこういうジャンルを超越したアーティストや作品が存在する。『夏への扉』がまさに典型で、SFに全く興味がなくてもこれは面白いはずだ。恋愛、冒険、時間旅行、痛快な逆転劇、そして猫。そう、本書は猫好きにもたぶんこたえられないだろう。

すごくおもしろそう。わたしの背中をしっかりおしてくれた。
こんな作品をほっておく手はない(ほっておいたのだけど)。

老後には、すきな本の再読をたのしみにしている。
しかし、あたらしい本がどんどんでるし、
よんでないおもしろそうな本もたくさんある。
わたしの本棚だけでも、手にとられるのをまつ
まだよんでいない本がごっそりならんでいる。
いま把握している本だけでも、
わたしは老後を退屈せずにすごせそうだし、
そのうえに、こうしてSFのふかい森へ、
あたらしくふみだすたのしみができた。
「老後」は、定年退職によってスタートとする
まったくあたらしいくらしではなく、50をこえたあたりから、
すこしずつ老後にからだをならしたほうがいいとかんがえている。
SF古典にも、いまのうちから手をつけておこう。
まずは『星を継ぐもの』と『夏への扉』にとりついてみたい。

posted by カルピス at 21:53 | Comment(0) | 高野秀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする