「ゼロから始める障がい者GH(グループホーム)
新規立ち上げセミナー」に参加する。
建築会社が主催するセミナーで、
グループホームを経営するときに、
どうやれば利益をだせるかのはなしがある。
障害者のグループホームは、老人のものとちがい、
日中はべつの事業所で仕事をし、
夜になるとグループホームにかえってきて、
必要なケアをうけつつ生活をする。
重度の障害者と、軽度の障害者では、
ちがうタイプのグループホームとなり、
サービス単価もちがってくるけど、
いずれにしても、親元をはなれ、
自立した生活をおくりたい障害者にとって、
とても重要な場所となる。
本人だけでなく、保護者にとってもニーズはたかい。
自分たちが年をとれば、いつまでも子どもの世話はできない。
グループホームでしっかりしたケアがうけられたら安心だ。
それなのに、いまの段階では、
まだじゅうぶんな数のグループホームが提供されていない。
わたしがつとめる事業所でも、
グループホームの必要性はよくわかりながら、
これまでふんぎりをつけられずにきた。
2003年に事業をはじめたので、
そのときは保護者もまだわかく、
グループホームは切実な要望ではなかったけれど、
開設から17年がたち、利用者である障害者も、
保護者の方たちも だんだんと年をとった。
自分たちが生涯にわたってわが子の世話をするのではなく、
日中の活動の場だけでなく、夜に生活する場もまた
提供してもらいたいという希望を よくきくようになった。
わたしたちの事業所が、なぜこれまで
グループホームを経営しなかったかというと、
しっかりしたサービスを提供しつづける責任に
たじろいていたからだ。
サービスを提供すれば、それにみあった報酬を
国から得られるのはわかっているけど、
いまいる職員で人的配置をまわそうとした場合、
夜のとまりなど、負担がおおきすぎ、実施にうつれなかった。
リタイヤした元介護職員や、パートの職員をつのり、
べつ事業としてグループホームを経営すればいいのに、
べつの職員集団にまかした場合、
サービスの質がおちるようで、ためらっていた。
いまおもえば、いまの仕事をしている職員たちで、
グループホームもまたやろうとするのはむりにきまっている。
完全に別事業としてグループホームにとりくむしかない。
サービス管理責任者がしっかりケア方針をたて、
サービスをつづけられるよう、必要なパート職員を配置する。
そこらへんが整理されないまま、グループホームは無理、
という雰囲気のままずるずると10年がすぎてしまった。
ようするに、どうしてもグループホームをやろうというだけの
覚悟がきまらなかったし、手をあげる人間もいなかった。
もうひとつネックになるのが、お金の問題だ。
スプリンクラーの設置などの基準をクリアーするには、
ふるい借家よりも、あたらしく家をたてたほうがいいらしい。
グループホームをはじめるにあたり、新築の家をたてれば
すくなからぬお金をかりる必要があり、
重度の方が利用するグループホームの場合、
どうしても1億円以上の借金となる。
オーナーに家をたててもらい、
月々でお金をかえしていくやり方もあるけど、
できれば自分たちで家をたて、
オーナーの顔色をうかがわずに経営したい。
きょういただいたレジュメは、グループホームについて
わかりやすく整理されており、やる気さえあれば、
黒字経営ができるしくみなのがわかった。
ただ、いかにいい資料があっても、
その資料を判断材料にグループホームをはじめるわけではない。
まずもとめられるのは、
どうしてもグループホームをやるという気もちであり、
覚悟であり、決心である。
できない理由はいくらでもつくれる。
問題は、やりたいか、やりたくないか。
気もちさえさえあれば、道はどこかにかならずある。