2020年03月15日

死ぬまえの3日間をどうすごすか

またまた『セント・オブ・ウーマン』について。
中佐は死ぬまえにゴージャスなおもいをしようと、
ニューヨークへゆき、服をあたらしくしたて、
高級娼婦をだき、フェラーリにのった。
残念ながら、豪遊をたのしむだけの教養がわたしにはなく、
高級ホテルや高級レストランでは緊張してしまう。
わたしだったら、どんな3日間をすごすだろう。

中佐みたいに家をはなれて さいごをむかえようとするのは、
映画ならではの発想かもしれない。
死ぬときは、みなれた風景のなかのほうが
おちつけるような気がする。
派手にあそんでくいをのこさないように、は
たのしそうで 自分もやってみたくなるけど、
じっさいの人生においてあまり参考にならない。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』
(村上春樹)では、
人生のおわりがちかづいてきたとき、
女性とイタリア料理店へゆき、彼女の家にとまり、
つぎの日は缶ビールをもって公園にでかけている。
はでさはないけど、手ごたえのある時間のすごし方だ。
ひとつの理想形として 頭にとどめておきたい。

中佐のように、自殺とまではいかなくても、
胃ろうや延命処置をことわるのも
死を覚悟しての濃密な時間とむきあいそうだ。
死をむかえるまでの3日間、と似た状況は、
あんがいおおくのひとが体験するのではないか。
そして、ほんとうに死をまぢかにしないと、
リアルなアイデアはうかんでこないかもしれない。
からだが自由にうごかなくなっていたら、
3日間のすごし方はおのずとかぎられてくる。
そのときのからだの状態によって、条件がかわってくる。
死ぬまえは、どうせほかにやることはないのだから、
朝おきたときに、いまのうちにできることの
リストづくりなり、確認なりをして、最後にそなえたい。

「終活」ということばをよく耳にするけど、
最後の3日間をどうすごすか、という項目があるだろうか。
死ぬまでにやっておきたい10のこと、は
似てるようだけど、ちがう。
死ぬまでの3ヶ月、でも、こたえがちがってくる。
「おわりよければすべてよし」かもしれないので、
さいごのすごし方は大切にしたい。
3日間という設定は、いいところをついている。

posted by カルピス at 21:49 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする