いまさらながらNHK特集
「死闘の果てに 日本VS.スコットランド」をみる。
夕ごはんのとき、録画しておいた番組をみながら
食事をするのがわたしのすきな時間だけど、適当な録画がない。
これも新コロナウイルスの影響なのだろうか。
ずっとほっておいたスコットランド戦についての番組をえらぶ。
試合のハイライトをあつめた番組だとおもっていたら、
両チームの選手・コーチへのインタビューをまじえ、
「こういうのがみたかった」というすぐれた内容だった。
スコットランド戦は、しばらくまえの試合なので、
日本がかったのはおぼえているけど、
その内容はすっかりわすれてしまった。
番組をみるうちに、だんだんとおもいだす。
台風で開催があやぶまれていたあの試合、
スコットランドがグループリーグでかちのこるには、
勝利が絶対条件だった。
そんななか、スコットランドの関係者が、
台風だろうがなんだろうが試合をするべきだと、
むちゃくちゃな発言をしており、
にわかのわたしはイラっときていた。
試合がやりたいのは日本代表だっておなじだけど、
むりに試合をひらき、けが人がでるようではよくないと、
慎重な姿勢で試合の日をまっていた。
自分たちののぞみだけを主張するスコットランドと、
わたしたちの代表は次元がちがうのだ。
結果的には日本が28−21でスコットランドをやぶったこの試合、
最初のトライこそスコットランドにゆるすものの、
そのあとたてつつけに3トライを日本がきめる。
後半にはいっても、福岡選手がかんたんに
(そうみえた)4トライ目をうばっている。
日本の活躍に、ただおおよろこびしていたわたしだったけど、
両チームの選手たちは、トライのうらでおきていた、
日本の守備陣のほころびに気づいていた。
4トライ目となる 後半そうそうの 福岡選手のトライは、
あいての攻撃をひきだしてしまったプレイらしい。
日本は気もちがゆるくなり、スコットランドは
もううしなうものがないので、それまでの作戦から
サイドをひろくつかった攻撃にきりかえる。
日本は前半に猛攻をしかけつづていたので、
体力がつづくわけがない、と観察しており、そのよみは的中する。
福岡選手のトライのあと、
スコットランドはたてつづけに3トライをきめ、
逆転が射程距離にはいってきた。
のこり時間は25分。
日本のディフェンスコーチによると、
日本はいつものこり25分まではいい試合をするのに、
それからくずれることがおおいのだという。
前回のワールド杯でも、日本はスコットランドに逆転をゆるしたし、
去年の3月におこなったイングランドとの試合でも、
スコットランドは後半から驚異的なちからをみせて逆転した。
後半を得意とするこの危険なチームと、日本代表はどうたたかったか。
守備が崩壊したかにおもえた日本にちからをあたえたのは、
福岡選手がおこなったすて身のタックルだ。
まにあいそうもないタイミングでボールにとびつき、
みかたの選手たちに、自分たちがするべきプレーをおもいださせた。
ここから日本のねばりづよい守備が復活する。
自分たちをしんじるちからを、もういちどとりもどした。
両チームの選手たちは、のこり25分をとてもたのしんだという。
かち・まけの次元をこえ、ラグビーをするよろこびにひたっていた。
まけるかもしれないのに、もっと試合をつづけたいとねがった。
人生をかえる試合はそうないけど、スコットランド戦こそが
それに値する試合だったと福岡選手がふりかえっている。
スコットランドの選手たちもまた、この試合にかたなければ
グループリーグでの敗退がきまるプレッシャーのなかで、
この25分はラグビーにおける特別な体験となった。
スタジアムもまた、異様な雰囲気につつまれていた。
サポーターと日本代表が一体となった貴重な瞬間を、
両チームの選手たちがかんじとっている。
それだけこの試合はおおくのひとを勇気づけ、
ちからをあたる特別なプレーにみちていた。
にわかファンには気づかなかったプレーの意味を、
ていねいに説明してくれるありがたい番組で、
ひさしぶりにワールド杯の興奮をおもいだした。