2020年03月31日

『オシムの言葉』リスクをおかすサッカーのほうがうつくしいとおもいませんか

『オシムの言葉』
(木村元彦・集英社インターナショナル)

先日の記事にオシムさんのことをすこしかいたら、
たまたまその夜の「サンデースポーツ」で
『オシムの言葉』をとりあげていた。

2006年のサッカーW杯ドイツ大会は、
代表史上最強といわれていた日本なのに、
いいところなしのまま、グループリーグで敗退してしまった。
ジーコのあとに代表監督となったのがオシムさんで、
それまではジェフユナイテッド市原の監督を3年つとめていた。
弱小チームをナビスコ杯優勝へとみちびいたオシムさんの手腕は、
サッカー関係者の注目をあつめていたそうだけど、
代表戦ばかりみていたわたしはもちろんしらなかった。
そのオシムさんが代表監督にきまり、
それにともないうれだしたのが『オシムの言葉』だ。

番組では、著者の木村元彦さんと、
オシムさんの指導をうけた巻誠一郎さんが、
オシムさんのひととなりをかたっている。
木村さんは、ユーゴスラビア紛争の体験により、
あすどうなるかわからない人生において、
どれだけ前むきに人生を生きていけるかが彼の哲学にある。

とオシムさんのスタイルを表現している。
サッカーでいえば、ひいてまもってカウンター、ではなく、
リスクをおかして何かをかちとろうとするサッカーのほうが、
うつくしいでしょ、という価値観だ。

巻さんは、だれかのためにプレーすることを
オシムさんが評価してくれたとはなす。
サッカー選手を引退し、つぎのステージをかんがえたときに、
だれかのためにアクションをおこすのが 自分のスタイルだと、
障害者の就労の手だすけを 巻さんは はじめた。
信念をもって活動できているのは、
オシムさんのおしえがあったからという。
サッカーだけにとどまらず、生きかたにまで影響をあたえるのが
オシムさんのプレースタイルだ。

番組の映像では、ジェフの選手たちをおしえる
15年まえのオシムさんがうつしだされる。
試合で納得のいかないプレーを目にすると、
ペットボトルを地面にたたきつけていかりをぶつける。
ナビスコ杯をかちとると、テレかくしに、
茶化すような表情でシャーレを手にする。
選手たちがどうあげしようとオシムさんにちかづくと、
もっともらしい顔をして、かたくなにこばむ姿がおかしかった。
表情をゆたかにかえ、おちゃめに感情をあらわす姿がなつかしい。

本書のこまかい内容はわすれてしまったけど、
この本により、わたしはいっぺんでオシムさんのファンになった。
そして、オシムさんがすすめるサッカーも
おおくのひとのこころをとらえた。
オシムさんは2007年の11月に脳梗塞でたおれ、
代表監督としての仕事からはなれてしまった。
オシムさんがつくる日本代表の完成形をみれなかったのが
かえすがえすも残念でならない。

posted by カルピス at 21:48 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする