2020年04月08日

がんばって!、と応援した結果、完走率がひくくなる那覇マラソンの魅力

角田光代さんの『希望という名のアナログ日記』をよんでいたら、
那覇マラソンに参加したはなしがのっていた。
那覇マラソンは、日本一完走率がひくいことで有名なのだという。
きびしいコースだから、ではなく、
市民による いたりつくせりのさしいれが原因らしい。
がんばってはしるよう、一生懸命に応援した結果、
ぎゃくに完走率がひくくなるなんて、マンガみたいだ。
水かとおもってのんだら泡盛だった、なんてこともあるらしい。
ただ、冗談でごちそうをならべるのではなく、
本気でランナーを応援しているのが、角田さんのエッセイからわかる。
驚いたことに、この沿道の応援と、ドリンク・フードの提供は、ずーっと途切れないのである。サトウキビ畑の真ん中であろうが、住宅街であろうが、どこまでもだれかがいて、「ちばりよ!」と声を張り上げていて、ランナーに何か差しだしている。おばあちゃんがたったひとり、黒糖をのせた盆をさしだしていることもある。ちいさな子どもたちが、そのちいさな手に皮をむいたみかんをのせて差しだしていることもある。ちばりよー、ちばりよー、と声をかぎりに叫んでいる。そうした光景に胸打たれて、私は幾度か嗚咽しそうになるのをこらえて走った。ジャージの袖口で何度も洟をかんだ。

中華料理店からは点心。牛丼屋からはミニ牛丼。一般の人からおにぎり、梅干し、ビール、コーラ、熱い紅茶、唐揚げ、そして見つけた、サーターアンダギー!!(ドーナツみたいな沖縄のおかし)

わたしはタイのチェンマイマラソンに2ど参加したことがあるけど、
そこでだされたのは水とスポーツドリンクがせいぜいで、
たべものはレモンとバナナだけだった。
自転車のロングライドならわかるけど、
そもそも、はしっているときに
牛丼やビールなんかを からだにいれたらたいへんだ。
フランスのメドックマラソンは、
ワインをのみながらのごちそうが有名なので、
食をたのしむマラソンもありとはいえ、
わたしだったら、ほんのすこし糖分をおぎなうだけにとどめるだろう。
そんなつまらない「常識」を かなぐりすてたところに
那覇マラソンの魅力はあるようだ。
 毎年那覇にいっているのに、美ら海水族館も首里城もいったことがない。どこに何があるのかまったくわからない。でも、知っているという自信がある。私は那覇という場所と、そこに住む人の心を、42.195キロ走るだけで、いつだってちゃんと見ているという自信がある。

posted by カルピス at 21:40 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする